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平安後期から中世、さらには近現代においてもなお、王朝文学はその命脈を保ち、生成されていく。 旧い趣向を滋養として吸収しつつ、時代の壁を越え、新しさを打ち出していく不断の営み―。 これら王朝物語の世界の豊饒さは、物語文学生成の最先端の場を今に伝える貴重な証言である。 言語表現やプロット、さらには絵画表現へも視角を広げ、相互に干渉し、響き合う物語相互の関係性を動態として捉え、新たな王朝文学史構築のための礎を築く画期的著作。
横溝博(よこみぞ・ひろし) 1971年、東京都生まれ。現在、東北大学大学院文学研究科教授。 専門は中古・中世物語文学。 2003年3月、早稲田大学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。信州大学助手、早稲田大学助手、日本学術振興会特別研究員(PD)、秀明大学専任講師を経て現職。その間、関東学院大学、早稲田大学、女子学院中学高等学校、東海大学附属望星高等学校、藤村女子中学高等学校、早稲田実業高等学校で非常勤講師を務める。 著書に『九曜文庫蔵奈良絵本・絵巻集成竹取物語絵巻』(共編著、勉誠出版、2007年7月)、論文に「『源氏物語』の勝利―「絵合」巻における主家讃美の方法と紫式部」(共編著『日本古典文学を世界にひらく―EAJS(ヨーロッパ日本研究協会)で発表しよう〈Opening Classical Japanese Literature to the World: Presentations at EAJS〉』(勉誠出版、2022年12月)などがある。