テンチノアイダニオノレヒトリイキテアリトオモフベシ

天地の間に己一人生きてありと思ふべし

熊沢蕃山「コスモポリテス」の地平
大橋健二 著
ISBN 978-4-585-31016-7 Cコード 3010
刊行年月 2023年8月 判型・製本 A5判・上製 376 頁
キーワード 哲学,思想,世界史,日本史

定価:4,950円
(本体 4,500円) ポイント:135pt

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書籍の詳細
現代文明への問い―蕃山哲学をスピノザで読む

現実に関わる「気」は大地に属し、人間を未来へと繋ぐコスモス的な「理」は天に属する。
経済や科学技術が非人間的な形に突出し「ネオ近代」というべき現代文明において、「気」と「理」の今日的意義を、スピノザを補助線に熊沢蕃山の哲学の中に展望する。
それは従来とは別の、もう一つの「日本思想」というべきものとなろう。

 

 

目次
はじめに

Ⅰ 内面の論理―男一匹の「気」
一、「気分」の文化
共感の時代/「気分」の日本文化/漱石「気分の文学」/「不機嫌」という気分/西田幾多郎「気分の哲学」/「空気」と「太陽」/遠くを見ること

二、「気」と「好悪なき心」
「気」と近代的自我/「気」一元論/「理気」一体/「好悪」の排除・解消/好悪と小人/「収斂」する「好悪なき心」

三、自己抑制・絶対限定の論理
脱成長と自己抑制/旧時代的日本の「Snobisme」/武士の自己抑制/〝さかさま〟/「負の力」と絶対限定

四、絶対受動・「対極」主義
「即」の弁証法/ヘーゲル弁証法と「魔力」/反転の力学/「木鶏」絶対受動・絶対他力/二元論の切断/出現する「恐ろしい力」/両極共存の「対極」

五、蕃山と弁証法
文武二元の「decency」/反発的調和パリントロポス・ハルモニエー/弁証法的、あるいは非弁証法的/日本固有の形―双極性bipolarity/「極端」を拒否する

六、気の実学
「虚学」の再評価/「気」と祈り/宇宙の「理」との合体

Ⅱ 宇宙と人間―コスモポリテスの「理」
一、スピノザと蕃山
オランダ商館長・カロン/カロンの「神色自若」/スピノザと蕃山を結ぶ線/二人の相似点

二、死と老い
死と云ふ諦め/「男一匹」の自死/〈いのち〉と〈死〉/「死」の意味/無限に続く「老後」…194/「人生の本舞台は常に将来に在り」

三、「弱さ」の価値
「陰陽」理論/〈陽〉の圧倒的支配/「強い個」への要請/依存的な理性的動物/〈弱さ〉の哲学/変革者・救済者と「絶対他者」

四、「孝」と「生命連鎖性 Generativity」
若い世代の怒り/「孝」の哲学と戦後の受難/ジェネラティヴィティ

五、天と地と「農」のダイナミズム
大地と人間/大地と農の思想/絶対平和論/農本主義/「直耕」と人間身体/非「反発」の論理/重力利用「神足歩行術」/重力への従順/重力の弁証法/地に深く沈み、空に高く上る/天下の谷

六、一身同体―植物身体・植物生命論
植物身体/動物と植物/植物身体・植物生命/宇宙との共振

七、造化賛助「鋤月耕雲」の世界
無用の者/ハイデガーの植物身体・植物生命論/天の観照(theōria)/儒教と宇宙/源氏と琴/琴と天/造化参賛と人間/「鋤月耕雲 山林経済」の哲学

〈附論〉熊沢蕃山 生涯と評価

おわりに
プロフィール

大橋健二(おおはし・けんじ)
1952年、福島県福島市生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。新聞記者を経て名古屋商科大学、鈴鹿医療科学大学非常勤講師。日本東アジア実学研究会副会長、土着的近代研究会事務局長。

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