ユレウゴクゲンジモノガタリ

揺れ動く『源氏物語』

加藤昌嘉 著
ISBN 978-4-585-29020-9 Cコード 1095
刊行年月 2011年9月 判型・製本 A5判・上製 296 頁
キーワード 古典,中古

定価:5,280円
(本体 4,800円) ポイント:144pt

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書籍の詳細
物語解釈の愉楽

ホンモノの『源氏物語』など、どこにもありはしない。
これまでに存在し、いま存在するすべての本が『源氏物語』である―

“原作者によるオリジナル”という幻想によって矮小化されてきた『源氏物語』。
“生成変化する流動体”という平安物語本来のあり方に立ち返り、
『源氏物語』のダイナミズムを文学史に再定立する。


(各章解説)
第Ⅰ部 本文が揺れ動けば物語も揺れ動く
150種とも200種とも数えられる『源氏物語』の現存写本は、すべて異なる相貌を呈している。『源氏物語』は、絶えまなき変異体である。あまたの写本たちは、そうした変異の種々相である。我々は、残された『源氏物語』たちを俯瞰し、それらを、揺動の軌跡として捉えなければならない。

第Ⅱ部 写本を演奏するのは我々である
或る時期に書き写され、今日まで読み継がれ、儼として眼前にある一写本を、一研究者が己の読解力とリズムで活字化して見せること。・・・・・・世に供される古典の整定本文とは、そういうものであると思うのである。例えば、句読点や鉤括弧は、のっぺらぼうの写本を読むためのtoolであり、instrumentである。

第Ⅲ部 どこからどこまでが『源氏物語』なのか
現存『源氏物語』五四帖がすべて一人の作者によって書かれたという証拠は、どこにもない。たとえ作者が異なっていようとも、作中人物の連繋・物語内容の連繋があれば、一つの物語に集合化し得る、というのが、平安時代物語の本性である。極言すれば、『源氏物語』は永久に完成に至らず、今なお生成をつづけている、ということである

 

 

目次
はじめに

第Ⅰ部 本文が揺れ動けば物語も揺れ動く
「東屋」巻の本文揺動史
ⅰ 匂宮が上か? 薫が上か?
ⅱ 『湖月抄』以前・以後
ⅲ 三条西家の本文と解釈
ⅳ 揺れ動きの幅

星と浮舟
ⅰ 鏡と浮舟
ⅱ 《彦星の光》のライン
ⅲ 『小夜衣』『更級日記』『浜松中納言物語』へ

本文の揺れ、物語の揺れ
ⅰ 揺れ動く本文――例えば『狭衣物語』における
ⅱ 本文異同はどのように扱われて来たか
ⅲ 『源氏物語』の異文を読む
ⅳ 本文研究における二・三の些細な問題

脱文もあれば独自異文もある
ⅰ 「神うらめしうおぼさるゝ御くせ」
ⅱ 「うらみきこえ給に」「つらさも消えぬべし」
ⅲ 「けしきあること、なのたまひそよ」


第Ⅱ部 写本を演奏するのは我々である
句読を切る。本文を改める。
ⅰ 整定本文のレイアウト
ⅱ 挿入句の捉え方
ⅲ 追叙法の捉え方
ⅳ 言いさしの捉え方
ⅴ 本文改訂の是非をめぐって
ⅵ 『新日本古典文学大系 源氏物語』の改訂方法
ⅶ 大島本の傍記をどう扱うか

「と」の気脈
ⅰ 《「…」と、「…」》型の発話文
ⅱ 《「…」と、「…」》型の心内文
ⅲ 《「…」と、「…」》型で、話主が交替する例
ⅳ 話主交替を明示しない発話文
ⅴ 発話文から地の文への緩やかな移行
ⅵ 心内文から地の文への緩やかな移行
付 「&」としての「と」

鉤括弧と異文
ⅰ 「と」ナシ発話文・心内文
ⅱ 《「…」心地す》型心内文の気脈
ⅲ 《「…」心地す》型心内文の拒否
ⅳ 名詞化される発話文・心内文


第Ⅲ部 どこからどこまでが『源氏物語』なのか
散佚「桜人」巻をめぐって
ⅰ 「桜人」の佚文
ⅱ 「桜人」の名を挙げる資料
ⅲ 近年明らかになったこと
ⅳ これまでの「桜人」研究
ⅴ 「桜人」の散佚情況から考え得ること/得ないこと

散佚「巣守」巻をめぐって
ⅰ 「巣守」研究の現段階
ⅱ 源氏物語古系図の中の「巣守」関連記事一覧
ⅲ 『源氏物語』とは何か?
付 「巣守」の古筆切、発見

続篇・外伝の筆法
ⅰ 末尾に後続する続篇たち
ⅱ 狭間に割り込む外伝たち
ⅲ 作中人物はいかに再生するか

あとがき
プロフィール

1971年生。2000年3月、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。大阪大学大学院助手、国文学研究資料館准教授を経て、現在、法政大学准教授。
共著書に、『大島本源氏物語の再検討』(和泉書院、2009年)、編著書に『講座源氏物語研究(8) 源氏物語のことばと表現』(おうふう、 2007年)、『テーマで読む源氏物語論(4) 紫上系と玉鬘系―成立論のゆくえ―』(勉誠出版、2010年)などがある。

2012年、第13回紫式部学術賞を受賞致しました。

その他

・「毎日新聞」(2011年12月21日)の「BOOK WATCHING」欄にて、本書が紹介されました。
・「毎日新聞」(2012年1月4日)の「BOOK WATCHING」欄にて、本書が紹介されました。
・「図書新聞」(2012年5月26日)にて、本書の書評が掲載されました。(評者:安藤徹(龍谷大学文学部))

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