加賀藩主前田家が所蔵する国宝の刀剣三振「名物大典太」「名物太郎作正宗」「名物富田郷」をフルカラーで紹介。
これらの国宝以外に、かつて前田家にあった刀剣や腰物帳について触れ、その伝来やエピソード、入手の経緯など解説。蔵品の図録としてだけではなく、歴史資料として活用できる1冊。
刀剣三振のうち、とりわけ名物大典太は、足利将軍家の重宝であったが、時を経て豊臣秀吉の所有するところとなり、前田利家に下賜された重器である。前田家に代々伝わり、明治維新以降、これら三振は、明治天皇の前田邸御成の際に叡覧に供した。
そして、大正、昭和の前田家十六代目当主前田利為は、五代藩主前田綱紀の故事にならい文書を中心とした財団設立の準備のために、二回、所有の文化財を売却した。その際に刀剣三十三振も売却されたが、これらの三振の刀剣は、ついぞ売却されることはなかった。まさに名宝中の名宝である。