エマキノズゾウガク

絵巻の図像学

「絵そらごと」の表現と発想
山本陽子 著
ISBN 978-4-585-27007-2 Cコード 1070
刊行年月 2012年5月 判型・製本 A5判・上製 400 頁
キーワード 美術,文化史,古典,日本史,近現代,中世

定価:8,800円
(本体 8,000円) ポイント:240pt

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書籍の詳細
中世の絵師はなぜこのように描いたか

『伴大納言絵詞』『鳥獣戯画』『源氏物語絵巻』など中世の絵巻には、現代の視点で見れば何とも奇妙な表現がちりばめられている。なぜそのように描かれたのか。
絵師の発想・意図から中世文化を考察する。

 

 

目次
「絵そらごと」を読む―前書きにかえて―

第一部 絵巻の表現から絵師の発想を探る
 一 『華厳縁起』義湘絵の一場面から―なぜ善妙はあられもない格好で泣かなければならなかったか―
 二 僧の声を聴く―絵巻の声の線の性格と起源について―
 三 「~ところ」という言葉―彦火々出見尊絵巻と画中詞の発生―
 四 伴大納言絵詞鎮魂説の再検討―脇役の顔貌表現から制作意図を読む―
 五 『鳥獣戯画』甲巻の的弓場面の逆向性について―「嗚呼絵」と鳥獣戯画―
 六 あばら家の美学―なぜ絵巻に荒廃が描かれたのか―

第二部 絵巻・絵本の武者表現を考える
 一 粉河寺縁起絵巻の長者の娘の出家について―武士一族の出家譚―
 二 瓢箪足小考―鳥居派・又兵衛・仁王像―
 三 平安絵画における筋肉表現の受容と転用―武者絵以前の「瓢箪足に蚯蚓描」―
 四 『平家物語』絵本・絵巻の挿絵について―明星大学図書館所蔵本を中心に― 附 林原本・明暦版本・真田本・明星本場面対照表
 五 合戦絵巻・絵本における武者の顔貌―武者の顔貌表現の起源―
 六 「洞窟の頼朝」の顔貌―近代日本画における武者表現―

第三部 絵巻とマンガ・現代絵画の発想
 一 「大人げないもの」が発達するとき―相似形としての絵巻とマンガ―
 二 マンガ以前の日本絵画の時間と空間表現―マンガのコマとの対比において― 
 三 偶像崇拝が禁じられた神をどのように描くか―現代日本のマンガとアニメーションにおいて―
 四 後ろ姿の自画像について―歌川国芳が顔を見せない理由―
 五 柳瀬正夢「五月の朝と朝飯前の私」の制作動機―モダンボーイとカミソリ―

初出一覧

図版出典一覧

あとがき  

人名・事項索引

作品名索引
プロフィール

山本陽子(やまもと・ようこ)
1955年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得。東邦音楽大学・明星大学・跡見学園女子大学・早稲田大学・東京純心女子大学・多摩美術大学・一橋大学大学院非常勤講師を経て明星大学人文学部教授。博士(文学)。専門は日本中世絵画史。
著書に『絵巻における神と天皇の表現―見えぬように描く―』(中央公論美術出版、2006年)、論文に「水月観音の成立に関する一考察」(『美術史』第125号、1989年)「春日権現験記絵にみる「神の顔を描くことをはばかる表現」について」(『美術史』第140号、1996年)など。

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