仮名草子作品は、作品紹介に重点が置かれ、本文研究は未だしの感があった。
この度初めて緻密な本文校訂と注釈・口語訳なされた画期的な出版。
*『百物語』とは・・・
百物語は、日本の伝統的な怪談会のスタイルの一つ。話を百話続け終わると、怪(かい)が現れるとされる。
本書はそれを踏まえてパロディ化、百話の笑話に取りなしたもの。一般的な笑話もあるが、有名歌人や詩人の逸話なども多く収録されている。室町時代から近世初期の諸書にある類和も多く、五山の僧侶に関する話も多くある。
作者は未詳であるが、五山の僧侶、又はそれに近い者と考えられている。
*本書の特色
・底本は、信頼すべき万治二年刊本を使用した。
・本文は、校訂は原文本文を第一義に考え、漢字・ルビ等、本文そのままとしたが、通読の便を図るため、本文右傍らに「振り漢字」を当てるとともに、適宜段落分け・読点を施し、会話文には「 」を付し、口語訳を付した。
・注釈は、『文明本節用集』『易林本節用集』『合類節用集』等の諸節用集、当時の仮名遣書、同時代の諸作品を通覧し、綿密な語句の注釈を行った。
・巻末には、要語索引を付した。