世界に誇る大長編・大傑作の完全版を初公開!
明治・大正・昭和の激動の世紀に、日本人はいかに苦難と苦悩の道を歩み、希望をつないできたか。時代の証言として描く近代精神史。
明治の御代とともに佳き時代は終わり、米騒動・労働運動・産業革命により社会が変動するなか、旧家も土台から崩れはじめる。西欧の影響をうけた大正デモクラシーが世相を変えてゆく。苦学生次郎は帝大を卒業し農商務省に任官、農民の救済や社会改善に邁進するが…。
*本巻「人間の運命5 出発―第一部第四巻」は、新潮社版『人間の運命』第四巻「出発」(昭38・11初版)の著者訂正本を底本とし、やはり著者の校閲した新潮文庫版『人間の運命(二)』(昭51・1刊)を参照した。著者訂正本の見返しには、「昭和六十二年夏 最後訂正ずみ これでよし 光」とある。