カートは空です。
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のみとしらみの珍道中―。五穀を断った「木喰戒」の僧の衣に取り付いて自らも修行をしているつもりの「のみ」と「しらみ」。互いに罵り合い、助け合いながら、尊敬する上人と共に北へ南へ。仏道とは何かを虫の目からユーモラスに描く表題作『木喰』。他、戦争において「いかに敵を殺さないか」という自身の信念を貫く『軍曹かく戦わず』、不倫を契機に中年に至った「我が日常」を見つめ直す『寒紅の色』を収録。
立松和平(たてまつ・わへい)1947年栃木県生れ。早稲田大学政治経済学部卒。在学中に「自転車」で早稲田文学新人賞。卒業後、種々の職業を経験、故郷に戻って宇都宮市役所に勤務。1980(昭和55)年「遠雷」で野間文芸新人賞、1993(平成5)年『卵洗い』で坪田譲治文学賞、1997年『毒─風聞・田中正造─』で毎日出版文化賞、2002年歌舞伎座上演「道元の月」台本で大谷竹次郎賞、『道元禅師』で2007年泉鏡花文学賞、2008年親鸞賞を受賞。2010年逝去。