植民地期における朝鮮説話研究とその活用の実像に迫る
本書は、全体を3編で構成されており、第1編と第2編では「日本語朝鮮説話集」を、第3編では朝鮮民俗学を実証的に考察する。日本人学者=支配のための植民地主義、朝鮮人学者=抵抗のための民族主義といった二項対立を乗り越え、両者の相互関連性、人脈を実証的に浮き彫りにした。
朝鮮民俗学をめぐる言説は、朝鮮民俗は固有なもので、独立的に成立したかのような研究が主流を成している。しかし、本書では従来のナショナリズムに基づいた研究を全面的に見直し、朝鮮民俗学が帝国日本の中で形作られていったことを解明する。