白居易の「閑適」の内実を多角的・本質的に問う
古体詩三分類のひとつである「閑適詩」について、日本人にとってはその正体が今ひとつ明瞭なイメージを持って浮かばないことがある。
日本人にとっての閑適は、『和漢朗詠集』(閑居)に採られている詩歌に端的に表れているように、畢竟静寂の境地の謂であるとも言える。
しかし、白居易の「閑適詩」には「官」との緊張関係が背後に存したと言える。
いかにして閑適への決意に向けた心理的基盤が形成されていったのか。
その閑適詩はどのような文学史的広がりを見せるのか。
白居易の「閑適」なる概念の生成を問う。