アジアを中心とした一大ネットワークの構築を目指した活動家の軌跡
宗祖・親鸞の法灯と血統を継承した浄土真宗本願寺派第22世法主・光瑞は、アジア仏教徒のリーダーであることを自負し、「国家の前途」を強く意識しつつ本願寺の果たすべき役割を、国家と社会との関わりの中で熟考した。
彼が主宰した「大谷探検隊」だけが強調されがちであるが、彼の活動は、それだけに限定されるべきものではなく、本願寺の海外開教の先導者としての側面や孫文との交流、台湾や南洋を中心としたゴム園やコーヒー園、香料農園などの「熱帯農業」や「大谷光瑞興亜計画」「欧亜連絡鉄道計画」なども見落としてはならない。
大谷光瑞がアジア各地、とりわけ中国をどのように認識していたかを明らかにする。