カートは空です。
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幸福な夢と雪に閉ざされた現実が交錯する。日高登山中に雪崩に巻き込まれた山岳部六人。雪の下で最期の時を待つことになった小田桐昇は、思いを寄せていた長谷川裕子の遺体を抱きしめながら、昏睡と目覚めを繰り返し、生命が燃え尽きる間際の輝きを見る。実際に起きた雪崩事故に材を取った表題作『日高』。その他、浅間山の大爆発で一村が壊滅した顛末を描く『浅間』と、「日光」開発史を恋愛小説仕立てで描いた『日光』を収録。
立松和平(たてまつ・わへい)1947年栃木県生れ。早稲田大学政治経済学部卒。在学中に「自転車」で早稲田文学新人賞。卒業後、種々の職業を経験、故郷に戻って宇都宮市役所に勤務。1980(昭和55)年「遠雷」で野間文芸新人賞、1993(平成5)年『卵洗い』で坪田譲治文学賞、1997年『毒─風聞・田中正造─』で毎日出版文化賞、2002年歌舞伎座上演「道元の月」台本で大谷竹次郎賞、『道元禅師』で2007年泉鏡花文学賞、2008年親鸞賞を受賞。2010年逝去。