カンリュウ ニチリュウ

韓流・日流

東アジア文化交流の時代
山本浄邦 編
ISBN 978-4-585-22086-2 Cコード 3020
刊行年月 2014年4月 判型・製本 A5判・上製 352 頁
キーワード 現代社会,文化史,社会学,東アジア,近現代

定価:6,050円
(本体 5,500円) ポイント:165pt

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書籍の詳細
反発と融合を繰り返す、その交流の限界と可能性

摩擦と葛藤が絶えない今、日韓両国の研究者が、互いの文化交流の過去・現在を見つめ直すことで、新たな未来を志向する。前近代、戦前・戦中・戦後から、現代の「韓流ブーム」「K-pop」まで、越境する文化の「ハイブリッド化」を追う。

21世紀に入り日本では「韓流」や「華流」とよばれる、韓国や中国・台湾ほか中華圏の大衆文化への関心が高まっている。これらの動きは一時的なものではなく、韓流の中心がドラマから音楽(K-pop)に移ったように少しずつ形をかえて継続している。
一方で、中韓台では90年代以降、J-popや小説・アニメなど日本の大衆文化がブームとなり、最近でも村上春樹の小説が各国でベストセラーになるなど、「日流」とよぶべき現象があらわれている。
ヒト・モノ・資本がかつてなかったほど大量に、スピーディに国境を越える時代にあって、それぞれの文化が他の文化圏で受容され、各地の文化と交流しつつ融合・反発しながら新たな文化を創造していく、グローバル化現象の一側面としての「文化のハイブリッド化」の過程と見なすことができるだろう。
本書は現代東アジアのダイナミズムをめぐって、「文化交流」という観点から、 東アジア、とりわけ韓国を中心とした各地域・分野・時代を専門とする論者がその諸相を論じるものである。
今日の文化交流はもちろん、戦前期さらには前近代をふくむその前段階にも目を向ける。これをつうじて、韓国を中心とした現代東アジア文化交流の過去・現在から東アジアの未来を見据え、今日の文化交流がもつ可能性と限界について考える。

 

 

目次
Ⅰ部 前近代から近代へ
東アジア自然学のネットワークの形成と分裂―サメとエイの事例を通じて 魯相豪 前近代から近代への移行期における朝日関係―東本願寺釜山別院と朝鮮人訪問者を事例に 金潤煥
清末期中国人陸軍学生の精神教育―『武学』雑誌を中心に 宮城由美子

Ⅱ部 近代から現代へ
朝鮮における野球の受容 ―朝鮮で「ベースボール」は如何にして「野球」になったのか 小野容照
南京国民政府時期の「国貨運動」―ボイコットと「国貨」奨励のあいだ 石田亮 「母性愛」の越境―日韓映画交流前史 梁仁實

Ⅲ部 文化交流のダイナミズム
韓国における日本大衆文化の受容と変容―小説とドラマを中心として 李貞慜
文化史としてのK-pop―その世界史的位置をめぐって 山本浄邦
韓国キリスト教と日本社会―「韓流」の共有空間としての韓国系教会に注目して 李賢京
Ⅳ部 そして未来へ
韓国における「負の遺産」の解体/再生と新たなコミュニケーションの可能性―群山を事例として 金仙煕
中国における「韓流」―その展開と課題 山本浄邦

【コラム】私の人生を変えた十五日間 金民宰(訳・山本浄邦)
プロフィール

山本浄邦(やまもと・じょうほう)
韓国学中央研究院(韓国)フェロー、佛教大学大学院博士後期課程。専門は朝鮮近現代史、東アジア近現代交流史。
主な著書に『国家と追悼―「靖国神社か、国立追悼施設か」を超えて』(編著、社会評論社、2010年)、『大谷光瑞とアジア―知られざるアジア主義者の軌跡』(共著、勉誠出版、2010年)、主な論文に「大韓帝国期光州における奥村兄妹の真宗布教・実業学校設立をめぐって」(韓国語)などがある。

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