『本朝文粋』は、平安時代の漢詩文から古文書にいたるまで幅広いジャンルの漢文作品を収録する当時の文章作成の実体を知る上で第一級の資料であるが、これまで本格的な研究がなされていない。本書はこの大作に徹底した研究を試みるものである。その第一歩として校本篇では各所に数多く伝存する古写本の原本調査の結果を踏まえて、信頼性の高い校本を作成し、校注を付した。本文篇・解説篇・索引篇から成り、最善本である身延山久遠寺本を原本に忠実に翻刻し、解説では、底本である身延本の書誌的考察、その他の古写本それぞれの書誌的考察等を行った。また、漢字索引篇は用例を網羅した一字漢字索引とした。作者別作品番号一覧付き。訓読注釈篇・和訓索引篇続刊。