白居易に先駆ける文学と受け継ぐ文学
白居易の詩の新たな特色を言うにはこれに先立つ詩あるいは同時代の詩との比較を必須とするであろうし、これを継承する文学について論ずるにはそこに含まれる白居易の影響を丹念に読み取ることから始める他はない。
本特集では、「先蹤」として、陶淵明の「帰去来兮辞」と白居易の「自誨」詩との本質的なつながりについて詳細に論じた論考を収録。また、「継承」として、 中国関係では、これまで十分に議論されてこなかった北宋の晁逈の著作や蘇軾の詞など宋代の詩・詞・文に与えた影響に関する五篇の論考を、国文学関係では大江匡衡の漢詩など平安中期以降の漢詩、和漢聯句、和歌、俳諧等の詩歌を対象とする論考四篇を収録した。