アジア遊学188
ニホンコダイノカントワ

日本古代の「漢」と「和」

嵯峨朝の文学から考える
北山円正・新間一美・滝川幸司・三木雅博・山本登朗 編
ISBN 978-4-585-22654-3 Cコード 1395
刊行年月 2015年9月 判型・製本 A5判・並製 232 頁
キーワード 和歌,古典,平安,中古

定価:2,640円
(本体 2,400円) ポイント:72pt

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書籍の詳細

平安時代初頭、勅撰漢詩集が編まれた嵯峨・淳和帝の時代、「漢」風の宮廷文化を積極的に取り入れ、一方で「和」すなわち前代にさかんに詠まれた和歌の文化が公の場から退いたその時代は、国文学史において「国風暗黒時代」と評されている。
しかし、一般的に考えられているように、「漢風」と「和風」は、はたして互いに対立し否定しあうものとしてあったのであろうか。
通説を捉え返し、嵯峨朝の文化的・社会的特質と諸相を再検証することで、日本古代の「漢」文化の咀嚼と内在化の歴史を探る。

 

 

目次
はじめに 山本登朗

Ⅰ 嵯峨朝の「漢」と「和」
「国風」の味わい―嵯峨朝の文学を唐の詩集から照らす ヴィーブケ・デーネーケ
勅撰集の編纂をめぐって─嵯峨朝に於ける「文章経国」の受容再論 滝川幸司
唐代長短句詞「漁歌」の伝来―嵯峨朝文学と中唐の詩詞 長谷部剛
嵯峨朝詩壇における中唐詩受容 新間一美

Ⅱ 時代を生きた人々
嵯峨朝における重陽宴・内宴と『文鏡秘府論』 西本昌弘
嵯峨朝時代の文章生出身官人 古藤真平
嵯峨朝の君臣唱和―『経国集』「春日の作」をめぐって 井実充史
菅原家の吉祥悔過 谷口孝介

Ⅲ 嵯峨朝文学の達成
「銅雀台」―勅撰三集の楽府と艶情 後藤昭雄
『文華秀麗集』『経国集』の「雑詠」部についての覚書―その位置づけと作品の配列をめぐって 三木雅博
天皇と隠逸―嵯峨天皇の遊覧詩をめぐって 山本登朗
落花の春―嵯峨天皇と花宴 李宇玲

Ⅳ 和歌・物語への発展
国風暗黒時代の和歌―創作の場について 北山円正
嵯峨朝閨怨詩と素性恋歌―「客体的手法」と「女装」の融合 中村佳文
物語に描かれた花宴―嵯峨朝から『うつほ物語』・『源氏物語』へ 浅尾広良
『源氏物語』の嵯峨朝 今井上
プロフィール

北山円正(きたやま・みつまさ)
神戸女子大学教授。専門は平安文学。
著書に『菅家文草注釈 文章篇』第一冊(共著、勉誠出版、2014年)、『平安後期歌書と漢文学』(共著、和泉書院、2014年)などがある。

新間一美(しんま・かずよし)
元京都女子大学教授・京都女子大学非常勤講師。 専門は平安朝仮名文学における漢詩文受容。
主な著書に『平安朝文学と漢詩文』(和泉書院、二〇〇三年)、『源氏物語と白居易の文学』(和泉書院、2003年)、『源氏物語の構想と漢詩文』和泉書院、2009年)などがある。

滝川幸司(たきがわ・こうじ)
京都女子大学文学部教授。専門は平安文学。
主な著書に『天皇と文壇 平安前期の公的文学』(和泉書院、2007年)、『菅原道真論』(塙書房、2014年)、『菅家文草注釈 文章篇』第一冊』(共著、勉誠出版、2014年)などがある。

三木雅博(みき・まさひろ)
梅花女子大学教授。専門は日中比較文学・平安朝文学。
主な著書に『和漢朗詠集とその享受』(勉誠出版、1995年)、『平安詩歌の展開と中国文学』(和泉書院、1999年)、『和漢朗詠集 現代語訳付き』(角川ソフィア文庫、2013年)などがある。

山本登朗(やまもと・とくろう)
関西大学文学部教授。専門は日本文学(特に平安時代の文学とその享受史)。
主な著書に『日本漢詩人選集1 菅原道真』(小島憲之と共著、研文出版、1998年)、『伊勢物語論 文体・主題・享受』(笠間書院、2001年)、『伊勢物語の成立と享受 1・2』(編著、竹林舎、2008〜2010年)などがある。

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