慈円における「法楽」の意味を探求する―
建暦・建保期から承久期にかけて集中する諸社法楽百首群。それら法楽百首全体に通底する「法楽」の意味を明確にし、「法華要文百首」における詠歌方法やその法楽百首に内包する法楽意図を論ずる。
一方で、釈教歌の沿革からその内包する文学性を考究し、どのように「法楽和歌」内容が変化し、文学性をいかにして獲得するようになったのかを探求。
また、慈円歌における西行という存在についても考察する。
※慈円 (1155~1225)
鎌倉初期の天台宗の僧。関白藤原忠通の子。九条兼実の弟。諡は慈鎮。四度、天台座主となり、歌人としても名をなした。著作に「愚管抄」、家集に「拾玉集」など。
※法楽和歌
神仏を楽しませるために社寺に奉納する和歌