ジクウカントオントロジデミルワカンコテンガク

時空間とオントロジで見る和漢古典学

相田満 著
ISBN 978-4-585-29117-6 Cコード 3091
刊行年月 2016年3月 判型・製本 A5判・上製 304 頁
キーワード 国語学,比較文学,古典

定価:7,700円
(本体 7,000円) ポイント:210pt

 品切 
書籍の詳細

前近代日本の知識基盤を分析するために構築を進めている「和漢オントロジ」を、より高次かつ具体的・汎用的に利用するために、研究モデルの提示と、データ提供、ツールの開発に取り組んできた「和漢古典学のオンシロジ」シリーズと呼称すべきプロジェクトから派生した研究成果の一部。
「時間編:六国史」における地震と六国史、鎮魂の東歌では、「阪神淡路大震災」「東日本大震災」を扱い、前者は今昔物語集所収話が、京都の仁和大地震発生の不安な状況を反映しており、光孝天皇崩御の関係とも無縁ではないことを説き、後者では東日本大震災とその災害復興の動向に音楽・文学・映画などが果たした役割を示し、それのことは古今和歌集巻20東歌の編纂意図を読み解くヒントにもなるビジョンを示した。
ある意味で、古典研究の現代的意義を提示したもので、その成果を速やかに提示することは、現代のように災害列島と化す一方で、地震・津波の被災者への鎮魂記憶が風化しようとしつつある現代において、それを風化させないための古典文学研究、その研究を支援するための基盤情報の整備を訴える一冊。

 

 

目次
はじめに

第一部 時間編―六国史の世界から―
 第一章 キツネの考現学と六国史のキツネ―膨大な情報を持つモノへの切り口として―
 付表 狐出現記事一覧
 第二章 キャラクター生成装置としての六国史―地震と六国史―
 第三章 鎮魂の東歌―地震・津波と六国史―
 第四章 日本の勅撰書
 付表 日本勅撰書一覧

第二部 空間編―GISの応用と地名による知識発見―
 第一章 地名オントロジ―『大日本地名辞書』から広がる地名オントロジの可能性―
 第二章 応用の可能性―地名と知財―
 第三章 GIS利用により現出される歴史地名・地名の連関性

第三部 オントロジ編―概念の基層をなすもの―
 第一章 千字文の冒険―『古事記』のオントロジ的発想による分析―
 第二章 「水」と「瑞」―「みづ」と「みづほ」のオントロジ―
 第三章 水とペットボトルと「ラッパ飲み」と―水と身体の文化―

あとがき

奥付
プロフィール

相田満(あいだ・みつる)
1959年2月、広島県生まれ。
中央大学大学院博士後期課程年限終了後、東京都立本所高等学校教諭を経て、現在、国文学研究資料館准教授。和漢比較文学会常任理事。情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会第8期主査(2005-2006年度)。情報知識学会編集委員。無窮会図書館評議員。説話文学、漢籍幼学書を中心とする和漢比較文学研究と中世学問研究、人文情報学分野ではデータベース形成と漢字に関する研究を進め、近年は日本旧暦時代文献の研究に資するオントロジを構築するための研究と資源形成を行っている。
論著等に『古典化するキャラクター』(アジア遊学130、勉誠出版、2010)、『和漢古典学のオントロジ』(勉誠出版、2007)など。

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