コキュウモノガタリ

故宮物語

政治の縮図、文化の象徴を語る90話
野嶋剛 著
ISBN 978-4-585-22146-3 Cコード 0022
刊行年月 2016年5月 判型・製本 A5判・並製 408 頁
キーワード 美術,文化史,中国

定価:2,970円
(本体 2,700円) ポイント:81pt

 品切 
書籍の詳細
故宮という『フィルター』を通し、日本、台湾、中国が絡みあう東アジアの近現代史と国際政治を描く

なぜ習近平は「中華民族の偉大なる復興」を掲げるのか―。
中国と台湾に存在する二つの故宮は、日中戦争と国共内戦の産物であり、アジア近現代史の縮図である。戦後台湾の蒋介石にとっては「中国正統政権」の象徴とされ、今日も中台交流の最前線にある。中国では「中華」があらゆる場で強調され、政権交代を控えた台湾でも故宮の分院「南院」は「中華かアジアか」で揺れている。
アジア随一の美の殿堂・故宮を、歴史・政治・文化のあらゆる面から精緻に解読する一冊。

 

 

目次
Ⅰ 故宮とは何か
故宮1話 なぜ故宮を書くのか
故宮2話 故宮から中華文化を知る
故宮3話 故宮が存在する理由
故宮4話 日本と故宮
故宮5話 故宮にある「琉球」
台北故宮文物コレクション①
故宮6話 翠玉白菜 台北故宮の人気国宝
故宮7話 白磁嬰児枕 定窯の白が誘う眠り
故宮8話 蘭亭序 書聖の最高傑作
故宮9話 早春図 中国絵画の一大転換点
故宮10話 毛公鼎 台北故宮の「鎮館之宝」
故宮11話 青磁水仙盆 汝窯の「雨過天青」
故宮12話 清明上河図 乾隆帝の夢
故宮13話 百駿図 紫禁城の異人画家

Ⅱ 故宮の歴史といま
故宮14話 日本の作家が描いた故宮
故宮15話 台北故宮の値段
故宮16話 動き始めた両岸故宮交流
故宮17話 ふたつの故宮、どっちが優れているのか
故宮18話 故宮創設九〇年を祝った両岸故宮
故宮19話 四川・楽山の「戦時故宮」 上
故宮20話 四川・楽山の「戦時故宮」 下
故宮21話 南京に残された故宮
故宮22話 北溝物語
故宮23話 末代皇帝と瀋陽故宮
故宮24話 民進党の故宮Ⅰ 「多元的な故宮」を求めて
故宮25話 民進党の故宮Ⅱ 南院は希望か重荷か
故宮26話 民進党の故宮Ⅲ 組織条例改正の攻防戦
故宮27話 民進党の故宮Ⅳ 故宮を映画で撮る
故宮28話 開幕した故宮南院の未来
台北故宮文物コレクション②
故宮29話 玉琮 天めざす人の欲望
故宮30話 鏤彫象牙雲龍紋套球 工芸技術の「秘中の秘」
故宮31話 青花蟠龍天球瓶 世界帝国モンゴルが生んだグローバル商品
故宮32話 寒食帖 日中台を流転した悲運の名品
故宮33話 散氏盤 漢字の存在理由
故宮34話 四庫全書 世界最大の書物
故宮35話 赤壁図 蘇る三国の熱気
故宮36話 嘉量 始皇帝の夢、度量
故宮37話 快雪時晴帖 乾隆帝が「神」と呼んだ作品
故宮38話 品茶図 十全老人・乾隆帝のこだわり
故宮39話 徽宗書詩 風流天子の凄み
故宮40話 元太祖半身像 横綱が平伏したチンギス・ハン
故宮41話 祭姪文稿 硬骨の士の慟哭
故宮42話 谿山行旅図 隠者の生き様
故宮43話 伏羲像 「道統」の象徴

Ⅲ 故宮海外展の光と影
故宮44話 不思議な日本展の「第一報」
故宮45話 大成功を収めた英国展
故宮46話 独ソ戦に巻きこまれたソ連展
故宮47話 外交としての米国展
故宮48話 フランス、ドイツ、オーストリアの故宮展
故宮49話 日本展挫折の歴史
故宮50話 主催をめぐるメディア戦争
故宮51話 浮遊した日本展の行方
故宮52話 「国立」名称という落とし穴
故宮53話 「国立」名称問題はなぜ起きた
故宮54話 故宮日本展は成功だったのか
台北故宮文物コレクション③
故宮55話 畫班姬團扇 中国美人の描き手
故宮56話 陶馬 故宮を助けた日本人
故宮57話 碧玉屏風 天皇に贈られた一品
故宮58話 釋迦牟尼佛坐像 故宮の「穴」を埋めた日本人
故宮59話 米色魚耳炉 謎の名窯・哥窯のヒビ
故宮60話 堆朱四季花卉文瓶 漆の美
故宮61話 下関条約 蒋介石が持ち去った外交文書
故宮62話 澄泥虎符硯 書を支えるもの
故宮63話 「台湾図附澎湖群島図」 台湾の歴史的なイメージ
故宮64話 画魚藻 「水を得た魚」
故宮65話 鉤連乳丁紋羊首罍 羊と青銅器
故宮66話 富春山居図 中台泣き別れの名画
故宮67話 龍形玉佩 権力と結合した怪物
故宮68話 自叙帖 書の美

Ⅳ 故宮をめぐる人間たち
故宮69話 孔子が生きる故宮
故宮70話 革命の父・孫文と故宮
故宮71話 故宮の命運を変えた蔣介石
故宮72話 故宮を愛した宋美齢
故宮73話 怪物アーティスト・張大千と故宮
故宮74話 倣古を極めた官僚唐英
故宮75話 蔵書の鬼・楊守敬と故宮
故宮76話 老故宮が信じる「文物有霊」
故宮77話 私が会った故宮院長たち
故宮78話 〈インタビュー〉元台北故宮院長 杜正勝氏
故宮79話 〈インタビュー〉元台北故宮院長 林曼麗氏
故宮80話 〈インタビュー〉元台北故宮副院長 張臨生氏
故宮81話 〈インタビュー〉元台北故宮院長 周功鑫氏
故宮82話 〈インタビュー〉台北故宮院長 馮明珠氏
故宮83話 〈インタビュー〉元北京故宮院長 鄭欣淼氏
故宮84話 〈インタビュー〉元南京博物院長 梁白泉氏
故宮85話 〈インタビュー〉元東京国立博物館副館長 西岡康宏氏
故宮86話 〈インタビュー〉日華議員懇談会幹事長代理 古屋圭司氏
故宮87話 〈インタビュー〉台南芸術大学助教授 蔣伯欣氏
故宮88話 〈インタビュー〉故宮の生き証人 荘霊氏
故宮89話 〈インタビュー〉中国文化評論家 余秋雨氏
故宮90話 〈インタビュー〉「台北故宮」脚本 胡繞氏

あとがき
プロフィール

野嶋剛(のじま・つよし)
1968年生まれ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学から中国、台湾、香港に留学。朝日新聞入社後、佐賀支局、外報部、政治部などを経て、シンガポール支局長や台北支局長として中華圏やアジア報道に従事する。2016年4月から独立してフリーに。
『ふたつの故宮博物院』(新潮社、2001年)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)など多数の著書があり、いずれも中国・台湾で翻訳出版されている。

書評・関連書等

「書道美術新聞」第1077号(2016年6月1日)にて、本書の紹介文が掲載されました。

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