カツカイシュウノランガクトカイグンデンシュウ

勝海舟の蘭学と海軍伝習

片桐一男 著
ISBN 978-4-585-22147-0 Cコード 3021
刊行年月 2016年6月 判型・製本 A5判・上製 240 頁
キーワード 日本史,明治,幕末,近代

定価:4,620円
(本体 4,200円) ポイント:126pt

 品切 
書籍の詳細

勝海舟が学んだ蘭学、海軍伝習とはいかなるものであったのか。
幕末から維新への激動の時代、江戸城無血開城に導き、次代への道を拓いた勝海舟。
その成功の背景には、海舟が身に着けた蘭学と海軍伝習があった。
新潟県糸魚川市に伝わる新出資料を読み解き、海舟が蘭書やオランダ人教官との親交から海外情報・知識を体得していった足跡をたどり、世界の進運のなかで新しい国家構想へ向けた眼差しを探る。

 

 

目次
はじめに  

一 蘭学への道
1 永井青崖に入門
2 『ヅーフ・ハルマ』書写と奥書
3 『ヅーフ・ハルマ』書写の目的
4 「蠏行私言(かいこうしげん)」の主張
5 キンスベルゲンの著作
6 「蠏行私言」

二 都甲斧太郎の教導
1 『氷川清話』記事と海舟書翰の一致
2 都甲斧太郎とクール『馬療書』
3 都甲斧太郎の語学力と隠君子振り
4 都甲斧太郎の憂慮と海舟教導

三 ペリー来航と建言
1 建言「愚存申上候書付」
2 「愚存申上候書付」の内容

四 長崎海軍伝習
1 海軍伝習の目的
2 第一次海軍伝習の「時間表」―曜日・時間・科目・教師―
3 第二次海軍伝習の「時間表」―曜日・時間・科目・教師―

五 砲術訓練―用語と号令―
1 砲術用語
2 訓練の号令

六 ヤパン号=咸臨丸
1 入港検問書類―トン数│
2 咸臨丸(ヤパン号)総帆図みつかる

七 『蚊鳴餘言(ぶんめいよげん)』を読み込む
はじめに
1 勝海舟の受けた長崎海軍伝習
 1 基礎科目の学習/2 実技/3 見聞
2 勝海舟の『蚊鳴餘言』の分析
 1 『蚊鳴餘言』の序文から/2 調査のきっかけと写本二種/3 項目に「題」を付した分野別分類/4 分野別分類項目の構成と海舟評言/5 分野別項目数と海舟の評言数
3 『蚊鳴餘言』の読解
 1 執筆目的/2 写本の比較・検討/3 構成分野の具体例
4 聴取事項の実行・実践例
5 『蚊鳴餘言』の移動と、その行方
 1 関係資料による移動の筋道/2 高崎正風と関係資料
6 『蚊鳴餘言』を通じてみえる「海舟の狙い」

附 勝海舟と咸臨丸関係資料
1 公開までの経緯
2 勝海舟・咸臨丸関係清水家資料目録
3 清水家資料にみる勝海舟
 1 「剣術目録」/2 咸臨丸(ヤパン号)総帆図/3 オランダ語書翰/4 トイクルスコロック説/5 来翰等を読む

〈附論〉勝海舟宛足立唯一郎書翰
はじめに
1 書翰を解読
2 書翰の内容
3 地図上の探索
むすびに

まとめ
参考文献・出典
プロフィール

片桐一男(かたぎり・かずお)
1934年(昭和9年)、新潟県に生まれる。1967年、法政大学大学院人文科学研究科日本史学専攻博士課程単位取得。現在、青山学院大学文学部名誉教授。公益財団法人東洋文庫研究員、青山学院大学客員研究員。文学博士。洋学史研究会会長。専攻は蘭学史・洋学史・日蘭文化交渉史。
主な著書に『阿蘭陀通詞の研究』(吉川弘文館、角川源義賞)、『杉田玄白』(吉川弘文館人物叢書)、『蘭学家老 鷹見泉石の来翰を読む─蘭学編─』(岩波ブックセンター、ゲスナー賞)、『知の開拓者 杉田玄白―『蘭学事始』とその時代―』(勉誠出版)、『伝播する蘭学―江戸・長崎から東北へ―』(勉誠出版)、『江戸時代の通訳官―阿蘭陀通詞の語学と実務―』(吉川弘文館)などがある。

書評・関連書等

「洋学史研究」第34号(2017年4月)にて、本書の書評が掲載されました。(評者:岩下哲典(東洋大学・文学部史学科))

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