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学びと育ちを支える学校図書館

渡邊重夫 著
ISBN 978-4-585-20053-6 Cコード 1000
刊行年月 2016年8月 判型・製本 四六判・上製 264 頁
キーワード 図書館

定価:2,640円
(本体 2,400円) ポイント:72pt

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書籍の詳細
未来を創る変革力・想像力

「思想善導」機関としての役割を担った戦前の図書館の歴史から情報統制の問題を再確認し、子どもたちが情報を得る権利を支援する教育環境としての学校図書館の在り方・未来像を提唱する。人権をベースに子どもの「学び」と「育ち」を考える。

 

 

目次
はじめに
第一章 人類の記憶を還元する図書館―図書館規制、そして情報統制の歴史に学びつつ―
 第一節 『図書館戦争』
 一 「記憶を還元する」―図書館―/二 『図書館戦争』/三 「こんな世の中あり得ねえだろ」
 第二節 メディア規制と情報統制
 一 情報統制に利用されるメディア/二 戦前における情報統制/三 情報統制法―その曖昧性―/四 メディア規制は「過去の遺物?」/五 表現の自由の優越性/六 自主規制
 第三節 情報統制と戦前の図書館
 一 「思想善導」機関としての図書館/二 「国民教化」機関としての図書館/三 国策遂行を担った社会教育、学校教育
 第四節 情報統制とプロパガンダ
 一 「権力監視は、民主主義の基盤」/二 国民「良化」「教化」に利用された戦前の教育
 第五節 情報統制と秘密、検閲
 一 「秘密」―情報統制の手段―/二 検閲と秘密
 第六節 「図書館の自由に関する宣言」の成立について
 一 「図書館の自由に関する宣言」の成立(一九五四年)/二 歴史に学び、未来を創る

第二章  すべての子どもに学校図書館を―「図書館学の五法則」に学ぶ―
 第一節 「図書館学の五法則」 
 一 「現実には話は違う」―学校図書館はどうなのか―/二 学校図書館業務を「顧みる」
 第二節 〈図書は利用するためのものである〉(第一法則)
 一 保存から利用へ/二 図書館の立地場所/三 図書館の開館時間/四 図書館員の問題
 第三節 〈いずれの読者にもすべて、その人の図書を〉(第二法則)
 一 「本は教育の道具である」/二 図書整備/三 「都市と地方」の問題―司書教諭の未配置—/四 「異なった条件下にある人」―支援を必要とする人―
 第四節 〈いずれの図書にもすべて、その読者を〉(第三法則)
 一 開架制/二 書架排列、目録/三 レファレンスサービス/四 広報
 第五節 〈図書館利用者の時間を節約せよ〉(第四法則)
 一 「時間」という視点から図書館サービスを/二 情報要求への「備え」―「Save the time」/三  「学び方の学び」―「Save the time」の視点から―
 第六節 〈図書館は成長する有機体である〉(第五法則)
 一 「部分」と「全体」、そして「成長する有機体」/二 学校図書館も「成長する有機体」である/三 最後に―ランガナタンについて

第三章 資料を軸に学校図書館の「満足度」を考える―変えることは、変わること―
 第一節 読書と人生 
 一 「人生を変えた本」―あるアンケートより
 第二節 利用者の要求を把握できない?
 一 「利用者の要求を把握できない」/二 満足度の変動性
 第三節 蔵書構成は「満足度」の入口・出口(一)―「学び」を支える資料の選択―
 一 「資料」と「人」/二 選書の重要性/三 「教育課程の展開」とかかわった選書/四 地域と共存する/五 有限の資料収集費を生かすために
 第四節 蔵書構成は「満足度」の入口・出口(二)―「育ち」を支える資料の選択―
 一 「児童生徒の健全な教養を育成する」/二 「教養」概念とかかわって/三 「新しい時代における教養教育の在り方について」―中央教育審議会答申―/四 「多様な見解」との共存―教養の形成に不可欠な「表現の自由」―/五 「良書」、「適書」
 第五節 学習活動と読書活動の「融合性」
 一 融合的関係に立つ学習活動と読書活動/二 選書の回数、組織/三 廃棄/四 開架、閉架/五 最後に「人」について

第四章 「学校図書館の自由」―学習権概念を媒介に―
 第一節 「図書館の自由に関する宣言」
 一 情報と図書館/二 「図書館の自由に関する宣言」―学校図書館との関わりは―
 第二節 「図書館の自由」について
 一 「図書館の自由」―知る権利―/二 図書館の自由―知的自由―
 第三節 学習権の保障と学校図書館
 一 「学校図書館の自由」―学校教育を軸に考える―/二 学校教育と人権/三 学習権について/四 学習権を担保する学校図書館/五 学習権の複合性―自由権的要素―
 第四節 「学校図書館の自由」―学校図書館資料の収集・提供を軸に―
 一 『はだしのゲン』提供制限問題の経緯/二 図書館資料の収集・提供に対する「権限」/三 学校図書館蔵書に対する「圧力・介入」の排除/四 学校図書館担当者―専門的知識・技能の必要性―/五 学校図書館担当者の条件整備
プロフィール

渡邊重夫(わたなべ・しげお)
北海道学芸大学(現北海道教育大学)札幌校卒業。
藤女子大学教授を経て、現在は北海道教育大学学校・地域教育研究センター共同研究員、北海学園大学などで非常勤講師。日本図書館情報学会会員、日本図書館研究会会員。
著書に『図書館の自由と知る権利』(青弓社、1989年)、『子どもの権利と学校図書館』(青弓社、1993年) 、『図書館の自由を考える』(青弓社、1996年)、『司書教諭という仕事』(青弓社、1999年)、『学校図書館概論』(図書館情報学の基礎14)(勉誠出版、2002年)、『司書教諭のための学校経営と学校図書館』(学文社、2003年)、『学習指導と学校図書館』第3版(メディア専門職養成シリーズ3)(学文社、2013年)、『学校図書館の力―司書教諭のための11章―』(勉誠出版、2013年)、『学校図書館の対話力―子ども・本・自由―』(青弓社、2014年)、『学校経営と学校図書館』(青弓社、2015年)(いずれも単著)がある。

書評・関連書等

「日本図書館情報学会誌」64巻2号(2018年7月)にて、本書の書評が掲載されました。(評者:金沢みどり(東洋英和女学院大学人間科学部))

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