イキョウトシテノニホン

〈異郷〉としての日本

東アジアの留学生がみた近代
和田博文・徐静波・兪在真・横路啓子 編
ISBN 978-4-585-22179-1 Cコード 3021
刊行年月 2017年11月 判型・製本 A5判・上製 512 頁
キーワード 比較文学,東アジア,世界史,日本史,昭和,大正,近代

定価:6,820円
(本体 6,200円) ポイント:186pt

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書籍の詳細
近代化と帝国主義の波が押し寄せた東アジアにおける、交流と対立の歴史を探る

中国・朝鮮半島・台湾から日本に留学した文化人や文学者は、故郷と異郷のあいだでどのような経験をしたのか。そしてそれをどのように描き、語ってきたのか。
19世紀後半~20世紀前半にかけて、日本に留学した24名を取り上げ、彼らの日本体験と、作家や画家、音楽家、出版人、活動家などとして活動したその後の生涯を概観。日中韓台の研究者によって、生きられた近代東アジア史を浮かび上がらせる。

 

 

目次
Ⅰ 東アジアの視野のなかで
 近代日本と東アジアの留学生 一八七六~一九四五 和田博文
 座談会 近代化への憧憬と帝国主義への幻滅 和田博文・徐静波・兪在真・横路啓子

Ⅱ 中国の視線が捉えた日本
 明治・大正・昭和戦前期の中国からの留学生 徐静波
 周作人―異郷に古昔の面影を求めて 劉岸偉
 田漢―大正時代を渉猟する 宮内淳子
 茅盾―牯嶺から東京まで 劉姸
 郁達夫―時代の哀歌を吟ずる 銭暁波
 郭沫若―日本を捨てた政治亡命者の秘密脱出と警察監視の実態 武継平
 欧陽予倩―日本で覚醒する創造の魂 有澤晶子
 宋教仁―日記から見る中国人日本留学生の生活と明治末年の世相 大東和重
 呉朗西―ある出版人の若き日の日本体験 呉念聖

Ⅲ 朝鮮半島の視線が捉えた日本
 明治・大正・昭和戦前期の朝鮮半島からの留学生 兪在真
 李光洙―山崎俊夫という「異郷」 波田野節子
 洪海星―韓国新劇運動の開拓者 李相雨
 羅蕙錫―大正初期の日本と朝鮮の新女性 鄭惠英
 洪蘭坡―日本留学時代の近代音楽家 金昌旭
 馬海松―異郷の全身編集者 山本亮介
 金来成―探偵小説マニアの文学青年 中根隆行
 鄭芝溶―日本で活動した朝鮮人詩人 金東僖
 尹東柱―ディアスポラの日本語体験 王信英

Ⅳ 台湾の視線が捉えた日本
 明治・大正・昭和の台湾からの留学生 横路啓子
 蔡培火―台湾・日本・東亜・中国 冨田哲
 楊逵―東京体験から見つけた「台湾の春」 長瀬由紀峰
 張文環―台湾作家のアイデンティティを求めて 和田桂子
 翁鬧―「東京」における都市文明とセクシュアリティ 朱恵足
 周金波―「志願兵」の中の〈日本〉:《文化翻訳》のアポリア 石田仁志
 饒正太郎―台湾詩人と日本モダニズム詩運動 呉佩珍
 邱永漢―〈故郷〉と〈異郷〉の境を超える・溶かす、「才能がありすぎた男」 和泉司

主要参考文献
日本・中国・朝鮮半島・台湾 関連年表
あとがき
執筆者略歴
人名索引
プロフィール

和田博文(わだ・ひろふみ)
東京女子大学現代教養学部教授。専門は文化学・日本近代文学。
主な著書に『海の上の世界地図―欧州航路紀行史』(岩波書店、2016年)、『シベリア鉄道紀行史―アジアとヨーロッパを結ぶ旅』(筑摩選書、2013年、交通図書賞)、『資生堂という文化装置1872-1945』(岩波書店、2011年)などがある。

徐静波(じょ・せいは)
中国復旦大学日本研究センター教授。専門は中日文化関係、中日文化の比較研究。
主な著書に『上海の日本人社会とメディア 1870-1945』(共著、岩波書店、2014年)、『近代日本の文化人と上海 1923-1946』(上海人民出版社、2013年)、『日本の飲食文化:歴史と現実』(上海人民出版社、2009年)などがある。

兪在真(ゆ・じぇじん)
高麗大学校日語日文学科副教授。専門は日本近現代文学。
主な著書に『東アジアの大衆化社会と日本語文学』(韓国:亦楽、2016年)、『改定版 堀辰雄とモダニズム』(韓国:亦楽、2015年)、論文に「植民地朝鮮における在朝日本人の探偵小説1―探偵の登場しない探偵小説」(『日本学報』一〇四号、2015年8月)などがある。

横路啓子(よこじ・けいこ)
輔仁大学日本語文学科教授。専門は台湾文学、日台比較文化、翻訳理論。
主な著書に『日台間における翻訳の諸相―文学/文化/社会から』(致良出版社、2015年)、『抵抗のメタファー―植民地台湾戦争期の文学』(東洋思想研究所、2013年)、『文學的流離與回歸―三〇年代鄉土文學論戰』(聯合文學、2009年)などがある。

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