「寝ている人が起きている人を研究するのも良いじゃないか」
不治の病を抱えながらも、恐るべき執念で菅江真澄研究に没頭した内田武志。
内田はどのようにして菅江研究を進め、『菅江真澄遊覧記』・『菅江真澄全集』の翻訳・校訂を行ったのか。そしてそこにはどのような協力者がいたのか。
菅江真澄が行った方言研究の方法を捉え直すとともに、偉業をなした内田の軌跡を追う。
菅江真澄(すがえ・ますみ)
1754~1829。江戸時代後期の旅行家、博物学者。北東北と南北海道をくまなく歩いて詳細な日記を残し、さらに地誌に取り組んだ。
内田武志(うちだ・たけし)
1909~1980。不治の病・血友病を抱えていたが、人々の支援を受けて研究を続けた。戦前は故郷・秋田県鹿角や移住した静岡県の方言研究に励み、秋田県に疎開してから、戦後は菅江真澄研究に取り組んだ。