古典受容のダイナミズム
写本・版本の流通量が爆発的に増えたことで、地方へ/からの情報の伝播、さまざまな階層への知の解放が行われた近世。
それまでは貴族や大名、連歌師周辺で読み継がれていた『源氏物語』もまた、他の和歌集や物語類とともに、庶民に受け入れられていった。
『源氏物語』の俗語訳として最初に公刊された都の錦『風流源氏物語』、また、その続編として編まれた、梅翁(奥村政信)『俗解源氏物語』『若草源氏物語』『雛鶴源氏物語』『紅白源氏物語』の全篇を翻刻・注解、挿絵も全て収載。
国内外の一級の研究者による優れた論考も併せて収載し、俗語訳・翻案・絵入本など、さまざまな形にうつしかえられ広く古典が受容されていくダイナミズムを考察するための基盤を提供する。