「縮小」と豊かさの萌芽―
人口減少とそれに伴う日本社会の産業や消費の縮小は、地域社会や都市圏に広がっており、日本の国内では生産の現場と担い手が大きく変容している。例えば「里地」が「里山」に、「里山」がもののけ姫の世界である「奥山」になろうとしている。
社会全体がシュリンクするという、今までにはなかった状況のなかで、獣害、生産人口減少、サプライチェーンの崩壊などが連動して起きる可能性が指摘されている。
しかし一方で、ビッグデータを用いた国土計画、市民とともに取り組む都市の農業・地域の再生、農産物のブランド化や伝統産品の輸出戦略など、新しい方向性も次々に生まれている。
本書は社会の転換を、地域社会、地方都市などさまざまな地域と方法論から分析を試み、食の生産のゆくえを見定めるとともに、地域のブランド化・ブランド産品に代表されるような新たな生産のあり方を探り、縮小期において豊かさを享受する方法の提案を行っていく。