平川祐弘決定版著作集
アーサーウェイリー ゲンジモノガタリノホンヤクシャ

アーサー・ウェイリー 『源氏物語』の翻訳者

平川祐弘 著
ISBN 978-4-585-29424-5 Cコード 0095
刊行年月 2020年7月 判型・製本 A5判・上製 1040 頁
キーワード 伝記,思想,比較文学,古典

定価:15,400円
(本体 14,000円) ポイント:420pt

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書籍の詳細

天才翻訳家ウェイリーの人物像、業績をまとめ、『源氏物語』の魅力を解説した『アーサー・ウェイリー―『源氏物語』の翻訳者』、18世紀中国の代表的文人・袁枚の詩日記を、アーサー・ウェーリーによる英訳も参照しつつ日本語近代詩に蘇らせた『袁枚―「日曜日の世紀」の一詩人』他、『源氏物語』関連の単行本未収録論文、これからの教育・教養についての問題を提起した論文などを収録。
平川祐弘決定版著作集全18巻、完結!


本書の醍醐味は、異国の文学を自国の文化に吸収するという点で、著者平川祐弘とウェイリーとのベクトルが見事に重なるところにある。ウェイリーと同様にテクストに真摯に向き合って行う平川の比較文学のありようが、ウェイリーの翻訳のありようとぴったり重なるのである。(河合祥一郎、『読売新聞』)

パイオニアーであるということは自主的な判断を下すことを絶えず求められることであり、そのように常に自分の頭で考えながら独走を続けたことでウェイリーはオリジナルな業績の数々を生み出した。学問世界の先駆者にはその人のみに許される幅広い選択の自由がある。ウェイリーはその特権を十全に生かした先発者だったから、東洋の詩文を西洋に伝える際に、類稀な自己の英語表現能力を存分に発揮できたのである。中国詩歌や『源氏物語』などの内在的価値を確信したウェイリーは、その価値ある東方の宝を西方に伝えて、質量ともに優れた大翻訳家の仕事を成し遂げた。本書は東の大翻訳者でもある平川が、西の学匠詩人ウェイリーの人と作品を語る、まことに行届いた、奥ゆかしい作品である。

 

 

目次
Ⅰ アーサー・ウェイリー 『源氏物語』の翻訳者
はじめに
第一章 中国詩の新世界 
第二章 西洋人の謡曲発見 
第三章 日本の女たち 
第四章 世界文学の中の『源氏物語』 
第五章 翻訳の諸問題 
第六章 大英帝国の衰退 
第七章 晩年の諸業績
第八章 平安朝の恋とブルームズベリーの恋
むすびに 

『夢幻能』オセロ英訳 
註 
あとがき 

Ⅱ 『袁枚』―「日曜日の世紀」の一詩人

Ⅲ 母国語で詩を書くことの意味―詩論とナショナリズム

Ⅳ 世界の中の日本を愛したい
『源氏物語』の歌とウェイリーの英訳―エクスプリカシオンの試み
指食い女と美相なき女―「雨夜の品定め」
香りと匂い
レイプ・オブ・ゲンジ
世界文学の中の猫
英訳と合せて読むといかなる意味があるのか―夕霧と落葉の雁
りんどうの花
色に迷うウェイリー
ウェイリー『枕草子』結言
前世と現世と来世の関係―ダンテと紫式部でなぜ違うのか

Ⅴ 地球化時代の英語教育―内外の教養を血肉化した多力者を養成せよ

平川先生の講義の思い出 北御門智子
ウェイリー夫人を訪ねた日のこと 井原真理子
「平川式一石二鳥の教育法」の功能 藤居聡
著作集版に寄せて―北京で『源氏物語』を語る 平川祐弘
平川祐弘教授 業績一覧
『平川祐弘著作集』推薦のことば
  ルネサンス的学者の登場 芳賀徹
  政治外交に携わる人も読むべし 五百旗頭真
  国文学徒、読むべし 今西祐一郎
  霊の人 今泉宜子
  文科系の深い共感 理科系の鋭い分析 伊東俊太郎
  学術作品にして文芸作品 坂本忠雄
  明晰な頭脳、破天荒な知的冒険 稲賀繁美
  平川教授のエノーマス・スカラーシップ ベン=アミ・シロニー
著作集構成の変更
ウェイリー関係索引
プロフィール

平川祐弘(ひらかわ・すけひろ)
1931(昭和6)年生まれ。東京大学名誉教授。比較文化史家。第一高等学校一年を経て東京大学教養学部教養学科卒業。仏、独、英、伊に留学し、東京大学教養学部に勤務。1992年定年退官。その前後、北米、フランス、中国、台湾などでも教壇に立つ。
ダンテ『神曲』の翻訳で河出文化賞(1967年)、『小泉八雲―西洋脱出の夢』『東の橘 西のオレンジ』でサントリー学芸賞(1981年)、マンゾーニ『いいなづけ』の翻訳で読売文学賞(1991年)、鷗外・漱石・諭吉などの明治日本の研究で明治村賞(1998年)、『ラフカディオ・ハーン―植民地化・キリスト教化・文明開化』で和辻哲郎文化賞(2005年)、『アーサー・ウェイリー―『源氏物語』の翻訳者』で日本エッセイスト・クラブ賞(2009年)、『西洋人の神道観―日本人のアイデンティティーを求めて』で蓮如賞(2015年)を受賞。
『ルネサンスの詩』『和魂洋才の系譜』以下の著書は本著作集に収録。他に翻訳として小泉八雲『心』『骨董・怪談』、ボッカッチョ『デカメロン』、マンゾーニ『いいなづけ』、英語で書かれた主著にJapan's Love-hate Relationship With The West(Global Oriental, 後にBrill)、またフランス語で書かれた著書にA la recherche de l'identité japonaise-le shintō interprété par les écrivains européens(L'Harmattan)などがある。

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