アジア遊学258
シリョウガカタルヒガシインドコウロ

史料が語る東インド航路

移動がうみだす接触領域
水井万里子・大澤広晃・杉浦未樹・吉田信・伏見岳志 編
ISBN 978-4-585-32504-8 Cコード 1322
刊行年月 2021年7月 判型・製本 A5判・並製 240 頁
キーワード 交流史,アジア,世界史,近代

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

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書籍の詳細

15世紀末から開拓され、ヨーロッパがアジアと出会った海上路、東インド航路。この航路は、大西洋を南下して、喜望峰を越え、アジア各地へと至る長距離ルートであった。以降、スエズ運河開通によりルートや移動手段が多様化するまで、多くの人やモノがこの航路を往来し、多数の記録簿や報告書、書簡、日記などの史料群が残された。
このような史料の書き手であった移動者であるヨーロッパ人と移動先のローカルな人々との関係は、航路上にあった「接触領域=コンタクト・ゾーン」の中で取り結ばれ、記録された。航路の変遷をたどり、そこに残された史料から、現地の人々の営みや関係性、特に奴隷や移動労働者といった可視化されにくい人々の輪郭を探る。

 

 

目次
はじめに 水井万里子・伏見岳志・大澤広晃

第一部 長距離航路からみる世界
東インド航路のなかのアフリカ 伏見岳志
ケープ・ルートの多様化とオランダ東インド会社のケープ居留地建設 和田郁子
近代中国学の誕生とロバート・モリソン 橋本真吾
植民地をつなぎなおす―スペインとポルトガルの帝国再編 伏見岳志
スペインとキューバ、アフリカをつなぐ非合法奴隷貿易のネットワーク 八嶋由香利

第二部 史料が描く接触領域としての島々
文書館史料を通じて人と出会う―マダガスカル史研究史料としてのオランダ東インド会社文書 イヴェト・ランジェヴァ・ラベタフィカ、ルネ・バーシュウ、ナタリー・エファーツ(末永信義・訳)
十八世紀末から十九世紀初頭のセント・ヘレナ島における移動と接触―イギリス東インド会社関連史料から 水井万里子 

第三部 史料のなかのケープ植民地
豊富なデータが開く歴史―ケープ植民地の統計史料 ヨハン・フォリー(訳・末永信義)
英領ケープ植民地における陸軍と関連史料 一七九五〜一八二〇年 辻本諭
十八〜十九世紀前半の南部アフリカにおけるイギリス系プロテスタント宣教団―移動史料研究の前提として 大澤広晃
十九世紀前半の南部アフリカにおけるウェスリアン・メソディスト宣教団―史料の特徴とそのナラティヴ 大澤広晃

第四部 変貌する東インド航路と帝国
ポスターのなかのアフリカの「自然」―イギリス帝国通商局によるプロパガンダの環境史的考察 宮内洋平
オランダ領東インドにおける旅券制度の展開―植民地パスポートの様式と機能をめぐって 吉田信
十九〜二十世紀におけるフランス植民地帝国間の移動―マルセイユ―サイゴン定期便 岡田友和
【コラム】旅券のスタンプから再現する植民地と本国の移動 吉田信
プロフィール

水井万里子(みずい・まりこ)
九州工業大学教授。専門は近世近代イギリス史。
主な論文に「イギリス東インド会社の初期インド植民都市建設と女性」(『女性から描く世界史』勉誠出版、2016年)、「イギリス東インド会社の地域産業救済―コーンウォル産鉱物資源の中国輸出(一八世紀後半〜一九世紀初頭)をめぐって」(『史苑』78(1)、2018年)などがある。

大澤広晃(おおさわ・ひろあき)
法政大学文学部准教授。専門はイギリス史・イギリス帝国史。
主な著書・論文に“Wesleyan Methodists,Humanitarianism and the Zulu Question, 1878–87,” Journal of Imperial and Commonwealth History 43, vol.3, 2015、『帝国主義を歴史する』(清水書院、2019年)、「キリスト教宣教がつなぐ世界」(永原陽子編『人々がつなぐ世界史』ミネルヴァ書房、2019年)などがある。

杉浦未樹(すぎうら・みき)
法政大学経済学部教授。専門はオランダ経済史、衣料品の流通史。
主な論文に "Garments in circulation: The economies of slave clothing in the eighteenth-century Dutch Cape Colony." Beverly Lemire and Giorgio Riello eds., Dressing Global Bodies. Routledge, 2019. 104-130、"The mass consumption of refashioned clothes: Re-dyed kimono in post war Japan." Business History 61.1 (2019): 106-121、Favero, Giovanni, Michael-W. Serruys, and Miki Sugiura, eds. The Urban Logistic Network: Cities, Transport and Distribution in Europe from the Middle Ages to Modern Times. Palgrave Macmillan, 2019などがある。

吉田信(よしだ・まこと)
南山大学国際教養学部教授。専門は国際関係論。
主な論文に「旅券・国籍・公定アイデンティティ―蘭印における台湾籍民の国籍証明をめぐって」(『立命館国際研究』31巻5号、2019年)、「植民地の旅券制度―オランダ領東インドにおける移動の自由と旅券」(松方冬子編『国書がむすぶ外交』東京大学出版会、2019年)、「法主体としての『インドネシア人』の創造」(島田弦編『アジア法整備支援叢書 インドネシア』、旬報社、2020年)などがある。

伏見岳志(ふしみ・たけし)
慶應義塾大学商学部教授。専門は中南米および環大西洋史。
主な論文に「南北アメリカ鏡像史の試み」(『立教アメリカン・スタディーズ』41、2019年)、「スペイン領における簿記行為:シモン・バエスの帳簿を中心に」(吉江貴文他編『近代ヒスパニック世界と文書ネットワーク』、悠書館、2019年)などがある。

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