パリ文壇にデビューし、初めて民間から起用された日本大使館の文化技術顧問として活躍したフランス留学時代。澁澤龍彦、横尾忠則など多くの若者たちが、その教えを乞いに、フランスの著者のもとに集まった。
マルローの東宮御進講を実現させ、筑波大学では「科学・技術と精神世界」という、研究者としてはタブーであった精神世界に踏み込んだ、国際学会を実現させる。
学問的には異端者と評されることもありがながら、自身の信念のもと、霊性の世界に真摯に対峙し続けた著者の、揺れ動く魂の軌跡をあますことなく書き上げる。
執行草舟、絶讃!
壮大な魂の叙事詩。
生涯を深奥世界のミステリー探索に賭した男の、勇気と、哀しみと、驚異に満ちた二十一世紀の黙示録。
執行草舟(『脱人間論』、『生くる』、『友よ』などの著者)
【第二巻あらすじ】
ソルボンヌで、カミュの恩師、ジャン・グルニエ教授に師事しつつ、パリ文壇と画壇に評論家としてデビューし、かつ講演家として名声を博す。
「五月革命」後、マルローを隠棲地のシャトーに訪ねて、ジャンヌ・ダルクの正系子孫に引き合わされ、オルレアンの少女を導いた「天の声」は何かとの謎に引きこまれる。
三島由紀夫、ついで川端康成から、それぞれの死に先立ってある信号を送られ、日仏間で秘せる役割を課される。滞仏十一年、日仏文化交流のヒノキ舞台で活動の絶頂期に、思いがけない逆風で一転、逆落としの運命に陥る。
【第二巻の主な登場人物】
秋山光和(日本美術史家)、ジャン・グルニエ(作家、ソルボンヌ教授)、マドレーヌ・グルニエ(同令嬢、画家)、オリヴィエ・ジェルマントマ(作家)、アンドレ・マッソン(画家)、弟子丸泰仙(禅師)、森有正(哲学者)、吉田敦彦(比較神話学)、エマニュエル・ローテン(詩人)、ミシェル・タピエ(美術評論家)、黛敏郎(作曲家)、アルフレッド・スムラー(在日長老記者)、松井明(駐仏大使)、桐竹紋十郎(文楽、人間国宝)、ジャン=ルイ・バロー(俳優)、篠田正浩(映画監督)、ピエール・ルフラン(ド・ゴール側近)、皇太子明仁親王・同妃美智子両殿下、マルク・シャガール(画家)、水井康雄(在仏彫刻家)、クララ・マルロー(マルロー夫人)、マドレーヌ・マルロー(マルロー後添、ピアニスト)、ルイーズ・ド・ヴィルモラン(閨秀作家)、アンドレ・ド・ヴィルモラン(ルイーズの弟、国立種苗会社社長)、フロランス・マルロー(マルローの娘)、ソフィー・ド・ヴィルモラン(ルイーズの姪)、アラン・マルロー(マドレーヌ前夫人の長男、劇作家)、ルドミラ・チェリーナ(舞踊家)、カトリーヌ・ド・カロリイ(エルメス・デザイナー)、ピエール・カルダン(服飾デザイナー)、高田美(カルダン側近写真家)、三島由紀夫、高橋睦郎(詩人)、澁澤龍彦(作家)、横尾忠則(画家)、金子国義(画家)、中村哲郎(演劇評論家)、川端康成、藤森文吉(パリ極東語学校教授)、芹沢光治良、モーリス・ベジャール、峯村敏明(美術評論家)、長谷川潔(在仏版画家)