ニホンキンゲンダイチシキジン ブンガクシャノカンコクニンシキ

日本近現代知識人・文学者の韓国認識

崔在喆 著
ISBN 978-4-585-39008-4 Cコード 3090
刊行年月 2022年8月 判型・製本 A5判・上製 456 頁
キーワード 文化史,社会学,東アジア,近現代

定価:12,100円
(本体 11,000円) ポイント:330pt

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書籍の詳細
日韓の相互理解、〈誠信の交隣〉のために―

近代日本は、西洋の産業化と帝国主義に刺激を受け、文明開化と富国強兵に力を注ぎながら、大陸への野心を表していた。
そのような時代の中で日本人は、はじめは好奇心、あるいは近代化の遅れた国への扶助という意識、ついで、優越感、蔑視の発露、さらには逃避場所、一獲千金の場、そして愛着、比較・参考の対象、創作の題材、自己省察など様々な感情の元で、韓国に対してきた。
本書では、近代日本人の韓国(朝鮮)観の変遷過程を辿り、小池正直、森鷗外、川端康成、安倍能成、大江健三郎という五名の著作、訪韓録、当時の雑誌記事などを丹念に読み解き、彼らが韓国について、どのような意識をもち、それがどのような影響をもたらしたのかを考察する。
明治期から戦後における近代日本の知識人・文化人たちの、韓国観の系譜を読み拓く。

 

 

目次
まえがき


 一、研究の対象及び、動機、目的
 二、先行研究について

序 章 日本近現代知識人・文学者の韓国観の変遷過程
 一、はじめに
 二、変化過程の概略
 三、韓国観の変遷過程―十二の段階―
 四、むすび
第一章 小池正直の朝鮮認識―『鶏林医事』を中心に―
 一、はじめに
 二、『鶏林医事』に見える朝鮮―風俗と性向、象徴及び、開化の〈利〉と〈害〉―
 三、朝鮮人の住居、飲食、体格など―オンドルと参鶏湯、外―
 四、むすび
第二章 森鷗外における韓国
 一、はじめに
 二、初期の日記に見える韓国関連記事
 三、鷗外の見た韓国―〈東学〉と〈韓服〉と、「徂征日記」「日清役自紀」等―
 四、日露戦争とその前後の記事、評論―『うた日記』等―
 五、「佐橋甚五郎」の〈意地〉と韓国の〈エゴ〉
 六、漱石の見た韓国との対比―公と私―
 七、むすび
第三章 川端康成文学の韓国像
 一、はじめに
 二、〈伊豆物〉における悲哀
 三、韓国舞踊の哀愁と力動性―崔承喜の舞踊を中心に―
 四、韓国に対する親近感
 五、むすび
第四章 安倍能成と〈京城〉、戦後
 一、はじめに
 二、安倍の成長期の性格形成と後年への影響
 三、安倍能成の見た〈京城〉―『青丘雑記』『静夜集』等―
 四、安倍と〈京城帝国大学〉、京城の知識人
 五、韓国の美と風流の発見、愛着
 六、〈日鮮融和〉とその弁明、反省
 七、戦後の活動―『戦後の自叙伝』等を通じて―
 八、晩年の回想と思考―『涓涓集』を中心に―
 九、むすび
第五章 大江健三郎文学の韓国人表象
 一、はじめに
 二、大江の初期作品に現れた〈朝鮮人〉表象の概略
 三、〈内〉と〈外〉の境界―『芽むしり仔撃ち』に現れた〈朝鮮人〉像―
 四、記憶の歪曲への反問―『万延元年のフットボール』の〈朝鮮人〉像―
 五、大江健三郎の韓国訪問と韓・日関連の発言
 六、むすび


既発表論稿一覧
参考文献
あとがき
索 引
プロフィール

崔在喆(チエ ゼチォㇽ/ Choi, Jaechul)
1952年生まれ。韓国報恩/韓国外国語大学校 日本言語文化学部 教授・日本硏究所長・外国文学研究所長・ 日本語大学長・名誉教授。韓国日語日文学会長。
東京大学大学院(比較文学比較文化専攻)修士・博士課程修了。専門は日本近現代文学・韓日比較文学。
韓日比較文化研究所 所長。共同著述・東大門図書館 市民講座企画、主催等。
主な著書に『日本文学の理解』『日本文学の中の四季―韓国文学との比較を通して』『日本近代文学の発見』、『韓流百年の日本語文学』(共編、日本語)、『산시로(三四郞)』(訳書)、『日本名短編選』(主題別 全10 巻、編集・共訳)などがある。

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