日韓の相互理解、〈誠信の交隣〉のために―
近代日本は、西洋の産業化と帝国主義に刺激を受け、文明開化と富国強兵に力を注ぎながら、大陸への野心を表していた。
そのような時代の中で日本人は、はじめは好奇心、あるいは近代化の遅れた国への扶助という意識、ついで、優越感、蔑視の発露、さらには逃避場所、一獲千金の場、そして愛着、比較・参考の対象、創作の題材、自己省察など様々な感情の元で、韓国に対してきた。
本書では、近代日本人の韓国(朝鮮)観の変遷過程を辿り、小池正直、森鷗外、川端康成、安倍能成、大江健三郎という五名の著作、訪韓録、当時の雑誌記事などを丹念に読み解き、彼らが韓国について、どのような意識をもち、それがどのような影響をもたらしたのかを考察する。
明治期から戦後における近代日本の知識人・文化人たちの、韓国観の系譜を読み拓く。