18世紀中期、琉球の正史として編纂された歴史書である『球陽』。
その外巻である『遺老説伝』には首里王府が全土に指令を下して、各地から収集・報告させた民間説話が漢文体で収録されている。
本書は、その全文の校訂文および書き下し文を収録。本文には底本と諸本との字句の異同を示す校注を付し、書き下し文には、関連する事柄を示すために詳細な注を施す。
琉球における説話文学研究の基本資料であるばかりではなく、地域の祭祀・伝承・芸能、自然と人文との関係、地名の漢字表記を巡る言語的理解など、多様な視点により、人類学・民俗学や歴史学・地理学など様々な学問領域に重要な意義と必要性を持つ一冊。