木簡の出土遺跡は列島の津々浦々に及び、既存の文献史料では解明が難しい地域の様相を探究する手がかりとなる。
地方官衙遺跡出土木簡(地方木簡)を仔細に読み解き、8・9世紀を中心に、国郡制支配の基層となる郡・郡司の動向や「郡的世界」と称すべき在地社会の状況、その上位にある国府や国分寺、国家的な生産施設のあり方など、律令制下の地域の姿を探る。また「郡的世界」から国衙の支配へと展開する10・11世紀の様相も明らかにする。
木簡の基礎知識や地方木簡を用いた古代史研究の方法論をわかりやすく解説し、具体的な木簡の釈読と文献史料から地方支配の様相の展開を立体的に描く、画期的入門書。