文学史に元禄三大家として特筆される、近松門左衛門・井原西鶴・松尾芭蕉ーー彼らの作品への執念とその達成を出版文化史のなかに探る。
元禄文化繚乱の時代に劇作・小説・俳諧の分野で新しい世界を築き上げた三者の営為を比較・総合して検討。
先行作品をどのように受容し、自分の作品世界をどのように新しく作り上げたのか。
それぞれの到達点は何だったのか。それはどう異なり、どう共通するのか――。
新たな出板文化が発展した江戸時代初期から元禄期において、三人が出板という営為にどのように対応したかを究明し、近松・西鶴・芭蕉の近世文化史における意義を明らかにする意欲作。