アジア遊学309
ガイアツノニホンコダイブンガクシ

外圧の日本古代文学史

遠藤耕太郎・濱田寛・吉見健夫 編
ISBN 978-4-585-32555-0 Cコード 1390
刊行年月 2025年10月 判型・製本 A5判・並製 256 頁
キーワード 比較文学,古典,東アジア,平安,古代

定価:3,300円
(本体 3,000円) ポイント:90pt

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書籍の詳細

日本文学史は、外国文化の圧力―外圧―という脅威と向き合う心の葛藤の歴史である。
古代日本の人々は、文字(漢字)や仏教・中国思想の外圧、国家制度や白村江の戦いと壬申の乱といった政治的・軍事的外圧、文学作品や唐物と呼ばれる輸入品の外圧など様々なかたちで現れた外圧としての中国文化に対して、どのように葛藤し、そこから何を創造していったのか。
『万葉集』や『源氏物語』などをはじめとする和歌や散文作品、漢詩文を、奈良と平安の二つの時代に分けて取り上げ、国際環境や国際感覚の異なる時代背景のもと、中国文化と格闘し、換骨奪胎、あるいは克服、憧憬しながら、文学を創造した人々の心の様相を探る。

 

 

目次
序言 遠藤耕太郎
総論 古代前期:外圧としての漢字に向き合う 遠藤耕太郎
総論 古代後期:「外圧」から「内なる規範」への展開 濱田寛

第Ⅰ部 古代前期(奈良時代まで)
『古事記』「酒楽の歌」について―宴のうたと場 岩田久美加
唐の外圧と額田王 遠藤耕太郎 
柿本人麻呂と《外圧》 高松寿夫
山部赤人による呪性の回復 遠藤耕太郎 
『万葉集』遣唐使関連歌考―漢語漢文世界でやまとうたをよむこと 岩田久美加
和銅―神亀年間の国際環境と大伴旅人―香椎浦と松浦川にみる風流心 井実充史
七~九世紀東アジアの国際環境と日本漢詩 井実充史

第Ⅱ部 古代後期(平安時代)
『土左日記』における漢詩(からうた)の表記方法 中島輝賢
『伊勢物語』はどう人の心をかたちづくるか―外圧としての仏教を視点に 咲本英恵
『うつほ物語』の列挙表現―賦の視点から 宮谷聡美
『枕草子』と漢籍―中国文化の〈外圧〉と宮廷社会の〈内圧〉の均衡 中田幸司
『源氏物語』の音楽―紅葉賀巻にみえる「外来の音楽」の内面化の方法 岡田ひろみ
桐壺巻における長恨歌引用の意義―桐壺帝の寵愛とその典型化 吉見健夫
平安時代の漢詩文―転換期としての宇多朝とその前後 濱田寛

あとがき 吉見健夫
関連年表
プロフィール

遠藤耕太郎(えんどう・こうたろう)
共立女子大学文芸学部教授、一般社団法人アジア民族文化学会代表理事。専門は日本古代文学と中国少数民族文化。主な著書に『モソ人母系社会の歌世界調査記録』(大修館書店、2003年)、『古代の歌―アジアの歌文化と日本古代文学』(瑞木書房、2009年)、『万葉集の起源―東アジアに息づく抒情の系譜』(中公新書、2020年)、『歌掛けのアジア―雲南省リス族の歌掛けと日本古代文学』(ゆまに書房、2023年)などがある。

濱田 寛(はまだ・かん)
聖学院大学教授。専門は日中比較文学、日本漢文学。主な著書に『平安朝日本漢文学の基底』(武蔵野書院、2006年)、『世俗諺文全注釈』(新典社、2015年)などがある。

吉見健夫(よしみ・たけお)
四谷学院講師。専門は『源氏物語』(平安文学)。主な論文に「紅葉賀巻の藤壺の歌「袖ぬるる〜」の解釈をめぐって―『源氏物語』の和歌の表現と場面形成」(『国文学研究』173集、2014年)、「「若紫」の表現と色彩―平安和歌の考察と『伊勢物語』『源氏物語』『紫式部日記』への展開」(『国文学研究』188集、2019年)、「幻巻の和歌論―光源氏の現世離脱意識の形成」 (中野幸一編『平安文学の饗宴』勉誠社、2023年)などがある。

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