カートは空です。
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日本漢字音とは、単なる経年変化の中で受動的に採用されたものではなく、何らかの使用意識の下で、当時いくつか存した選択肢の中から自覚的・無自覚的に選択された結果のものである。 本書ではこの「動的」な一面に着目し、個々の資料に出現する漢字音を分析し、相互に比較・対照。 当時、どのような音が選択され、背後にどのような論理・力学があったのかを探り、中世以降の日本漢字音、すなわち日本語の漢字の音読みの歴史的変化について考察する。
石山裕慈(いしやま・ゆうじ) 1979年生まれ。京都府長岡京市出身、幼少期を鹿児島県川内市(現・薩摩川内市)で過ごす。東京大学文学部卒業、同大学院人文社会系研究科修士課程・博士課程修了(博士(文学))。弘前大学教育学部講師・准教授を経て、2013年より神戸大学大学院人文学研究科准教授。2025年10月より同教授。 専門分野は、日本語史(特に日本漢字音史)。主要業績は「貞享版『補忘記』の漢語アクセント」(『国語と国文学』85-3、2008年)、「『遊仙窟』各本に記入された日本漢字音の位置づけ」(『国語と国文学』90-7、2013年)、「『漢字音の一元化』の歴史」(『国語と国文学』95-10、2018年)(以上本書所収)、沖森卓也・肥爪周二編『シリーズ日本語ライブラリー・漢語』(朝倉書店、2017)、「日常使用の日本漢字音の歴史──『日葡辞書』と現代日用語辞典との比較を通して──」(『国語と国文学』99-9、2022年)、「『和英語林集成』第三版の漢字音についての一考察(『神戸大学文学部紀要』50、2023年)」など。