彰義隊史不朽の金字塔とされる山埼有信『彰義隊戦史』から百余年。
後世に残る永久版の史書とすべく子孫、研究者22名が参加。新知見を加え、写真、図版200点余を駆使して彰義隊を可視化。加えて、歴史に葬り去られた彰義隊の存亡を、単なる物語としてではなく、幕末史の表舞台に位置づけ、彰義隊の事跡を詳らかに掘り下げる。
『彰義隊戦史』は5年前に『新彰義隊戦史』として生まれ変わったが、その後に判明した57名を「彰義隊名鑑」に追加し、「彰義隊文書」にも9点を追加した。2024年出版の続編『彰義隊士の手紙』を執筆する過程で新たに判明した彰義隊拵えの大刀の情報も加え、増補改訂版としてここに刊行。
「勝てば官軍」の歴史は、官軍が負けた側の歴史を消し、真実の歴史の50%に過ぎない。消された50%の好例が彰義隊の上野戦争であり、「アームストロング砲で半日で敗退した」と矮小化されたが、実際は戊辰戦争の分岐点であり天王山の戦いだった。彰義隊に江戸市民から寄せられた熱狂的エールも忘れ去られた。教科書的常識となって国民に定着した「明治維新神話」も本書によって問い直される。
*本書は2020年刊行の『新彰義隊戦史』(ISBN:978-4-585-22285-9)の新装版です。