中国の「文人画」は、唐代の王維から始まったとされ、文人士大夫が余技的に描いた絵画を指す。
民間や宮廷画院の絵画とは異なり、山水・花鳥などを主題とし、異民族支配や政治腐敗への不満をも表現し、長い間、「文人画」が中国絵画(史)の中軸として認識されてきた。
しかし近年、欧米や東アジア各地で「文人画」概念への疑義が示されるようになっている。
この概念は明清代の中国で生まれたものではなく、近世日本の中国美術認識が近代日本で再編され、それが近代日中交流で共有されていった新しい概念であったのである。
「文人画」という概念は、いつどこで誰によって作られたのか。
それは中国でどのように受容されていったのか。
「文人画」を主軸とする中国絵画史はどのように形成され、
今日の中国美術イメージの形成にどのような役割を果たしたのか。
東アジアのみならず、ヨーロッパ、さらに戦後のアメリカでの中国美術史研究にまで連動する大きな「中国の文人画」という問題を、多数の図版とともに新視点から検証する意欲作。