八世紀に律令国家の成立とともに国家の儀礼を荘厳するものとして制度化され、以来、現在に至るまで千三百年以上にわたり、わが国の宮中行事や主要な寺社の法会などで催されてきた舞を伴う音楽である舞楽。
この舞楽を独立した画題とする「舞楽図」には、曲目ごとの舞人・楽人あるいは舞楽が催される情景などが描かれている。
舞姿や装束など故実の記録画でもあり、王朝文化の象徴ともいえる舞楽図は、近世期の武家社会においてどのように受容され、武家の文化として浸透し、そしてどのようにやまと絵の一画題として広まっていったのか。
中世末から近世後期までの舞楽図の作例を順に取り上げ、描かれた舞楽の様相と制作背景、そして同時代の社会背景に目を向けながら、その変遷を考察する。