柳田国男と妖怪、というテーマは、意外なことにこれまであまり論じられてこなかった。
しかし実際には、柳田はかなり初期の段階から妖怪に強い関心を持っており、昭和初期にその民俗学が明確に体系立てられた時には、最も重要な意味を与えられることになったのである。
「妖怪」は、柳田国男の「最初の疑問」であり、その民俗学の隠れた原動力でもあった。そして「最後の失望」であり、いまだ解き得ない謎として、その後も残されたのである。
柳田はどのようにして妖怪に興味を持ち、研究を進めていったのか。
柳田国男の手になる妖怪辞典として受容されている「妖怪名彙」の本意はどこにあったのか。
現在、柳田国男の妖怪研究はどのような形で活用されているのか。
「柳田妖怪学再考」「『妖怪名彙』の逆襲」「拡大する柳田国男」という三部により、「柳田国男と妖怪」の過去・現在・未来をそれぞれ見通し、柳田国男の思想を俯瞰しつつ、その「妖怪」に関する思考について論じる。