シマダノタダオミ スガワラミチザネ キノハセオトヘイアンチョウカンシシノテンチョウ

島田忠臣・菅原道真・紀長谷雄と平安朝漢詩史の〈転調〉

廖栄発 著
ISBN 978-4-585-39067-1 Cコード 3095
刊行年月 2026年10月 判型・製本 A5判・上製 328 頁
キーワード 中古,平安,古典,漢文

定価:11,000円
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書籍の詳細
平安朝漢詩史のあらたな構築を試みる

平安朝の漢詩史を楽曲に喩えるならば、九世紀の後半から明らかに〈転調〉が起こることが感じられる。
奈良朝に漢詩文学が発足して以来の天皇讃美や治世謳歌という主調に加え、自己の心情や志向をうたうといった調子が次第に昂まってくるのである。
島田忠臣・菅原道真・紀長谷雄ら平安朝の詩人たちは、 漢詩を通していかに自己を表現してきたのか―
「私」の詠出の軌跡を明らかにすることで平安朝漢詩史のあらたな構築を試みる。

 

 

目次
凡 例

序 章 本書の問題意識と方法
一、平安朝詩人の公私と白居易の公私
二、「聖代謳歌」の文芸としての日本古代の漢詩―『懐風藻』と「勅撰三集」の公的な性格―
三、嵯峨朝漢詩の唯美主義と「文章経国」
四、「文章経国」の退潮と「詩人無用論」の喧噪―承和以降の詩史と白居易文学―
五、「詩言志」と「詩臣」観―菅原道真・島田忠臣・紀長谷雄―
六、本書の構成
七、本書の研究方法―『菅家文草』「賦得赤虹篇」の本文校訂を例に―

第一章 「詩臣」としての島田忠臣
はじめに
一、忠臣の「自詠」詩に見られる詩人意識
二、忠臣の「詩臣」意識と応制詩
三、「詩臣」としての忠臣の位置
おわりに

第二章 島田忠臣の不遇と「大隠」
はじめに
一、忠臣の不遇
二、忠臣の「大隠」志向の表出
三、忠臣の自適逍遥の心境
四、忠臣の自適空間について
おわりに

第三章 島田忠臣の交友と白詩
一、藤原基経との交友
二、忠臣の哀傷詩にみえる交友
三、忠臣の留別詩にみえる交友
四、「花鳥共逢春」唱和詩群にみえる交友

第四章 島田忠臣の哀傷詩について―和と漢のあいだ―
はじめに
一、忠臣以前の哀傷詩の概観
二、忠臣の哀傷詩の概観
三、「和」を基盤にもつ忠臣の哀傷詩
四、「和」と「漢」を越えての忠臣の哀傷詩
五、道真の「哭田詩伯」と今後の課題


第五章 島田忠臣の詩の諧謔的表現について
はじめに
一、薬の詩、桜の詩
二、蜘蛛の詩
三、海老の詩、凧の詩
四、茶摘みを乞う詩、酔漢の詩
五、感謝の詩
まとめ

第六章 菅原道真「寒早十首」と白居易・劉禹錫・元稹の流謫文学
はじめに
一、「寒早十首」創出前後の道真の心境―劉白の不遇逆境時代の文学の投影―
二、「寒早十首」と元白劉の「春深二十首」唱和詩群
三、元稹の通州流謫文学と道真の「寒早十首」
   ―「次韻式連作」という自唱自和の形式をめぐって―
おわりに

第七章 菅原道真「行春詞」「路遇白頭翁」再検討―詩人・国守の葛藤―
一、「行春詞」と白居易の感傷詩
二、「路遇白頭翁」の構造と主旨の喪失
三、結語

第八章 菅原道真「讃州客中之詩」再検討
一、「讃州客中之詩」の構成
二、「讃州客中之詩」の性格を考え直す―「客意文学」の成立―
三、物に触発される「詩人の興」

第九章 紀長谷雄の「詩言志」の宣言―「延喜以後詩序」を読み直す―
一、「延喜以後詩序」の本文校訂について―源順「沙門敬公集序」の本文校訂を兼ねて―
二、紀長谷雄の創作態度の転換と詩風転換
三、紀長谷雄の「詩言志」の宣言―紀長谷雄の「対残菊待寒月詩序」との関連―
四、結語

第十章 紀長谷雄の延喜以後の公宴作について
はじめに
一、延喜二年作について
二、「残雪伴寒梅」詩句(延喜三年作)
三、「花伴玉楼人」詩句(延喜四年作)
四、「春風扇微和」詩句
五、「霽色明遠空」詩句(延喜十一年作)
おわりに

第十一章 紀長谷雄「九月尽日惜残菊応製詩序」成立背景に関する再検討
はじめに
一、「九月尽日惜残菊応製詩序」に見られる自作の再利用
二、「九月尽日惜残菊応製詩序」に見られる紀長谷雄の苦心―菅原道真への私的追想―
おわりに

終 章 平安朝漢詩史の展望
一、島田忠臣・菅原道真・紀長谷雄の位置づけ
二、後世にとっての忠臣・道真・長谷雄の重み―『和漢朗詠集』にみる三人の影響力―
三、今後の課題

あとがき
初出一覧
索引
プロフィール

廖栄発(りょう・えいはつ)
1988年 中国福建省安渓県生まれ。
2010年 中国福建師範大学卒業。
2013年 中国北京外国語大学大学院北京日本学研究センター修士課程修了。
2019年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。
2019年 中国厦門大学講師。
2022年 中国厦門大学准教授。
博士(文学)。
主要論文に「『扶桑集』再考」(『和漢比較文学』第66号、2021年2月)、「『扶桑集』部類項目再検討」(張龍妹編『アジア遊学308 鏡としての日本文学――交響する中日古典』所収、勉誠社、2025年9月)、「日本と渤海における唐代詩人の同時代受容をめぐって――王昌齢・白居易・元稹」(鉄野昌弘・高木和子編『古代文学研究の現在』所収、青簡(日→月)舎、2025年12月)などがある。

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