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平安朝の漢詩史を楽曲に喩えるならば、九世紀の後半から明らかに〈転調〉が起こることが感じられる。奈良朝に漢詩文学が発足して以来の天皇讃美や治世謳歌という主調に加え、自己の心情や志向をうたうといった調子が次第に昂まってくるのである。島田忠臣・菅原道真・紀長谷雄ら平安朝の詩人たちは、 漢詩を通していかに自己を表現してきたのか―「私」の詠出の軌跡を明らかにすることで平安朝漢詩史のあらたな構築を試みる。
廖栄発(りょう・えいはつ)1988年 中国福建省安渓県生まれ。2010年 中国福建師範大学卒業。2013年 中国北京外国語大学大学院北京日本学研究センター修士課程修了。2019年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。2019年 中国厦門大学講師。2022年 中国厦門大学准教授。博士(文学)。主要論文に「『扶桑集』再考」(『和漢比較文学』第66号、2021年2月)、「『扶桑集』部類項目再検討」(張龍妹編『アジア遊学308 鏡としての日本文学――交響する中日古典』所収、勉誠社、2025年9月)、「日本と渤海における唐代詩人の同時代受容をめぐって――王昌齢・白居易・元稹」(鉄野昌弘・高木和子編『古代文学研究の現在』所収、青簡(日→月)舎、2025年12月)などがある。