本書は各時代に厖大な数が描かれてきた『源氏物語』画帖のなかでも最も著名な桃山時代の逸品、京都国立博物館所蔵本を原寸・四色カラーで原本に忠実に複製した。
54帖からなる画面は縦26.2糎,横22.5糎の大きさながら桃山という時代の底知れぬエネルギーに満ちている。狩野派隆盛の時代に土佐家の画風を守り、そして極めた土佐光吉の芸術的営為がこの一本に結実している。また、詞書の制作には桃山時代随一の能書家である後陽成天皇をはじめ約20名の筆者が書跡の美を競っており、書画の両面にわたり、まさに桃山美術の極致であるといえよう。