長年『浜松中納言物語』の校訂作業を続け、『浜松中納言物語』「未紹介本調査報告」の業績もある編者が、新発見の、従来最善本とされている榊原家本と同一粗本の同一書写者の本(兄弟本)である茨城大学図書館所蔵の菅文庫本を合わせて本文を校合した、『浜松中納言物語』本文の決定版である。
【浜松中納言物語とは】
11世紀半ば過ぎ成立。『更級日記』の作者、菅原孝標女作といわれる。
『源氏物語』の濃厚な影響下にあった当時の物語界において、その影響をうけつつも、舞台を唐に移したり、夢や転生が重要な役割をはたしたりといった新境地をひらいた作品。