近代日本の国語学の成立・発展に多大な影響を与えたチェンバレンの『文字のしるべ』。国語学・漢字研究・日本文化研究に必備の基礎資料となる影印編と詳細な研究編から成る。
『文字のしるべ』は、A practical introduction to the study of Japanese writingという英題の通り、外国人向けの日本語文字表記の入門書として知られてきた。チェンバレンによる日本関係の最後の著作であり、その日本文化の理解と日本語知識の集大成とも言える貴重な資料である。
本書は、1899年刊行の初版に基づく影印編と、編者による研究編からなる。研究編では、従来の先行研究と資料そのものの調査・分析により、日本語教育書としての価値を再認識し、多数残存する当時の使用形跡から実用度の高さを証明した。また、本書の「基本漢字」の分析により、近代日本の常用漢字や符号化文字集合の成立に影響したことに言及する。
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『文字のしるべ』資料編