海賊版400万部!! 中国を凝縮し、中国人の根底を描く感動の傑作。中国にかかわる人の必読書!
「中国とは? 中国人とは?」万巻の書を読む以上に、この物語は、あなたの疑問に答えてくれるであろう。
中国河南省の貧村――その指導者・主人公呼天成は、義の人物として、村の団結や自分の人脈を脅かすものを容赦なく自殺に追い込むという冷徹な一面を持つ。社会の底辺から北京の中央政治にまたがる濃密な人脈、人間の生きる力の強さ・・・これはもはや単なる小説ではない。中華世界の権力、野心、欲望、願望、そしてすべての美醜、叡智と愚昧、悲劇と喜劇を描き出している。
ご推薦文
◎チャイナ・リアリズムの傑作
辻原 登(作家)
呼家堡とはいったい如何なる場所か。
呼オジと呼ばれる老人は何者か。
羊の門をいったんくぐれば、ブラックホールに吸い込まれてゆくような眩暈を覚える。「あちらこちらが脈動し、血は踊り、骨が弾む。何十何万羽の鳥の舌が彼の肉体の上を遊びまわり、こちらがしびれ、あちらがけだるい、こちらが震え、あちらが引きつる。熱い。この音楽が熱いのだ」(本文より)といった有様である。
中国文学において、『史記』や『三国志』に描かれる歴史が近代的な意味での小説で、志怪や伝奇などいわゆる小説は、じつは事実・記録だった。
李佩甫のこの物語は、近代小説の枠組みの中で、史を述べ、怪を志し、奇を伝えて、混然一体、間然するところがない。
私はこれをチャイナ・リアリズムの傑作と呼ぼう。
◎読み出すと止められないストーリー
吉田富夫(佛教大学文学部教授)
古来中原と呼ばれる権力争奪の地であった河南省の小さな村――その村は、しかし、改革開放時代に入っても、『東方紅』のメロディーで朝を迎える毛沢東時代の面影をつよく残す村でもあります。
不思議はそれだけではありません。村を仕切る一見貧相な老人は、住んでいる小屋から電話一本かけるだけで、省はおろか、北京の党中央のある筋も駒のように動かす力を持っているのです。
物語は、この神秘な村と老人を基軸に、その手に操られる地方の党官僚たちの権力闘争と愛憎模様を描きます。
河南省に実在する村をモデルに、毛沢東時代を引きずりつつ、改革開放へときしりながら動く現代中国の苦悩を、農村を舞台に初めて活写したこの小説は、読み出すと止められないストーリーに満ちています。
過去の泥沼にどっぷり漬かりつつ、人々が必死にもがいているこの世界こそが、文字どおり、現代中国の縮図なのです。