ブンカザイキョウイクガクコトハジメ

文化財教育学ことはじめ

水嶋英治 著
ISBN 978-4-585-05359-0 Cコード 0070
刊行年月 2006年2月 判型・製本 A5判・上製 360 頁
キーワード

定価:3,850円
(本体 3,500円) ポイント:105pt

 品切 
書籍の詳細

文化財を見る目が変わる――
文化財に対する倫理を初歩から教え説き「礼・節・技」を知る、新たな学問「文化財教育学」の提唱
博物館に関わり、歴史遺産を愛するすべての人がとりくむべき問題をわかりやすく考察する、練達の博物館人による新領域への入門書

本書は、文化財を守ることの意味を考え直し、今日の私たちが、未来の私たちに、何を、どう遺すのかを論じている。その中心になるキーワードが「文化財」と「教育」である。
文化財を守っていくことは、単に保存施設に隠しておくことではない。そこには、哲学が不可欠であり、特別な保護政策が必要なのである。これは、日本が取り組まなければならない未来への宿題のひとつである。しかし、それ以上に重要なのは、一人ひとりの倫理観なのだと思う。倫理教育の欠如した日本には未来がない。その未来を、今取り戻しておかなければならないのだ。そのためには、時間のかかる教育を惜しんではならない。

※書評掲載
月刊ミュゼ(2006.3.15号)「Muse’s Book」欄に紹介されました。

 

 

目次
文化財教育学ことはじめ 目次

まえがき

第Ⅰ部 文化財と博物館教育
序 章
第一章 文化財とは何か
第二章 キュレータのしごと
第三章 博物館定義の変遷
第四章 博物館教育 新・西洋事情
第五章 博物館教育のすすめ
第六章 アメリカのチルドレンズ・ミュージアムを歩く
第七章 感性教育、実物教育、倫理教育
第八章 大学博物館は何を目指すのか
第九章 文化財情報の生産と活用



第Ⅱ部 格言から学ぶ文化財教育学
「愛は惜しみなく与う」(トルストイ)……コレクションについて
「ローマは一日にしてならず」(ミゲル・ド・セルバンテス)……博物館の歴史について
「予の辞書に不可能ということばはない」(ナポレオン)……博物館のマニュアルについて
「文は人なり」(ビュッフォン)……博物館と文化政策について
「雄弁は銀、沈黙は金」(カーライル)……文豪と博物館と小説と
「朕は国家なり」(ルイ十四世)……ルーヴル美術館について
「人の一生は重荷を背負いて遠き道をゆくがごとし」(徳川家康)……歴史建造物の保存について
「人民の人民による人民のための政治」(リンカーン)……博物館の法律について
「芸術は長く、人生は短し」(ヒポクラテス)……博物館に影響を与えた人たちについて
「読書百篇、義おのずからあらわる」(陳寿)……博物館文献目録について
「足を知らずしてを為る」(孟子)……博物館ガイドブックのガイドブックについて
「百里を行くものは、九十九里をもって半ばとす」(秦策)……博物館の百年史について
「みずから経験と情報を基礎から蓄積してかからねば、学問はものにならない」(梅棹忠夫)……梅棹語録について
「初心忘るべからず」(世阿弥)……博物館の職業倫理について(その一 アメリカ編)
「物の心をしる也、物の哀をしる也」(本居宣長)……博物館の職業倫理について(その二 イギリス編)
「カエサルのものはカエサルに」(新約聖書)……大英博物館について
「大国を治むるは、小鮮を烹るがごとし」(老子)……英国の博物館の歴史について
「歓楽極まりて、哀情多し」(漢武帝・秋風の辞)……博物館の情報商品について
「死馬の骨を買う」(戦国策・燕策)……自然史博物館について
「美は幸福の約束」(スタンダール)……美術館について
「目は心の鏡」(孟子・離婁上)……視覚障害について
「人を以て言を廃せず」(論語・衛霊公)……ビジター研究について
「動かなければ、錆びつく」(エジソン)……ブックレットという形態について
「さえぎるな、言葉! 私と海の間を」(谷川俊太郎)……展示の表現について
「一隅を照らす者は、これ即ち国宝なり」(最澄)……「地域」という概念について
「学びて、時に之を習う、亦説ばしからずや」(論語・学而)……博物館教育について
「空想は知識よりも重要である」(アインシュタイン)……博物館と大学について
「天は自ら助くる者を助く」(スマイルズ)……目録作成と分類について
「神経質といわれても我慢なさるがよろしい」(プルースト)……情報の記録について
「君ができるすべてのことを」(ジョン・ウェズリー)……文化財のリスクマネジメントについて
「現在は過去以外の何ものも含んでいない」(ベルクソン)……社会的記憶とモーリス・アルバックスについて
「目には目を、歯には歯を」(ハムラビ王)……ミュージアム・マーケティングについて
「心ここにあらざれば、視れども見えず」(大学)……見世物について
「あらゆる権威は人民に属する」(ジェファーソン)……博物館と図書館について
「A Living dog is better than a dead lion.」(旧約聖書 伝道の書第九章四節)……博物館の幸せな閉じ方について
「落花、枝に上り難し、破鏡再び照らさず」(伝灯録)……音楽博物館について
「自然は一巻の書物であり、神がその著者である」(ウィリアム・ハーヴェイ)……世界遺産と物語性について
「伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し」(菜根譚)……博物館評価について
「窮すれば則ち変ず、変ずれば則ち通ず」(易経)……評価基準づくりについて
「急がず、休まず」(ゲーテ)……人材養成について
「これ賢これ徳、よく人を制す」(三国志)……博物館の社会的責任について

あとがき
初出一覧
参考文献

おすすめ

  [詳細]
ラテンアメリカ文学の出版文化史

ラテンアメリカ文学の出版文化史

寺尾隆吉 編著
定価:6,050円
(本体 5,500円)
鎌倉幕府の文学論は成立可能か!?

鎌倉幕府の文学論は成立可能か!?

神田龍身 著
定価:4,180円
(本体 3,800円)
日本人にとって教養とはなにか

日本人にとって教養とはなにか

鈴木健一 著
定価:3,850円
(本体 3,500円)
訂正新版 図説 書誌学

訂正新版 図説 書誌学

慶應義塾大学附属研究所斯道文庫 編
定価:3,850円
(本体 3,500円)
ショッピングカート