ニホンキゲンノコダイカラヨム

日本・起源の古代からよむ

工藤隆 著
ISBN 978-4-585-05386-6 Cコード 0021
刊行年月 2007年12月 判型・製本 四六判・上製 320 頁
キーワード 古代,東アジア,民族学

定価:2,200円
(本体 2,000円) ポイント:60pt

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書籍の詳細

日本の〈古代〉の、〈古代の古代〉と〈古代の近代〉のあり方の違いを認識することなしに、明治の近代化の本質は見えないし、現代日本の実相も見えないのである。
――『古事記の起源』(中公新書)の著者が、中国少数民族の豊富な調査データをもとに、日本の「古代の古代」を推測し、現代日本をよみとく。

 

 

目次
第Ⅰ部
負を語る神話モデルから見た海幸山幸神話 
 1 海幸山幸神話研究の現在 
 2 少数民族と自民族の劣っている点を語る神話 
 3 負を語る神話の要素を排除した古事記 
 4 負を語る神話モデルから見た海幸山幸神話 
 5 謙虚さと宿命 
 6 おわりに 
九条と負を語る神話 
日本古代─神話・歌と〈国家〉の共存 
原型生存型民族という用語について 
日本古代の歌垣資料 
原型生存型民族の歌垣モデルから見えてきたもの 
神話・歌掛けと〈国家〉 
歌垣と身体 
生きている歌垣の歌詞資料の登場 
原型生存型民族と国家 
激変しつつある歌垣像 
〈動きつつある観念〉としての歌垣 
図像考古学とことば表現考古学を結びつける実態資料が必要 
生きている神話や生きている歌垣の第一次資料が必要 
古事記以前に遡るにはモデル理論に依拠する以外にない 
手がかりとする素材の質の高度化が求められる 
折口信夫が実現できなかった文化人類学との連携が必要 

第Ⅱ部
『古事記の起源』の執筆意図
古代文学研究の前提が変わりつつある
フィールド調査の威力
古代文学研究に変化の兆し
靖国問題で思いがけない影響を受けた
神話・呪術的情念と裸の資本主義への傾倒──日本文化の小泉純一郎的二重構造
一読者への手紙──『日本・神話と歌の国家』をめぐって
もったいないと天皇文化
起源への意志──白川静の力動

第Ⅲ部
二〇〇六年四月〜九月アジア滞在記
【報告第一信】 遣唐使上陸の寧波と河姆渡遺跡
【報告第二信】 西安(長安)訪問
【報告第三信】 湖南省鳳凰県ミャオ族の歌垣調査と寧波大学での講演
    (講演内容の概略)日本文化の二重構造
【報告第四信】 雲南省滄源のワ族文化調査
【報告第五信(終)】 バリ島トゥルニャン村調査と
 ペー族歌謡文化シンポジウム 
アジアから帰国して
書名が『古事記の起源──新しい古代像をもとめて』に変わった
白川静の学究人生を模範にしたい
日本文化の根底からの洗い直しが必要
近代化で消えゆく〈古代の古代〉──日中共同研究が進む歌垣の十一年

第Ⅳ部
浮浪する人々
 1 負の存在と国家
 2 文字で書かれなかった文学
 3 物乞いと邪説
 4 わざうた・巫覡・遊行女婦
演劇──異界と日常界を往還する
俳優の原像──神々と交流する者たち
芸能者──異界と日常界の境界を無化する者たち
人間にとって〈演技〉とはなにか
技術としての演技
日常としての演技
自我という演技
〈生〉の本質としての演技

起源の古代から現代をよむ──おわりに
 古代文学と現代思想に両棲する
 革新勢力はなぜ政権を取れないのか
 右か左かの二分法思考を超える
 美しい国、日本
 訓詁注釈とモデル理論が手を携えなければならない
 古代の日本像の把握には綜合的な知性がもとめられる
 若手・中堅の古代文学研究者よ、辺境へ急げ
 古代文学研究に月面到達後のような変化が生じ始めている

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