■編集方針
◇本集は、九曜文庫の所蔵する源氏物語関係の文献資料の中から、注釈や享受資料など、十九点を選択し、これらを十二巻にまとめて影印刊行する。
◇文献の選択に際しては、源氏物語研究の基盤たるべく学術的に価値あるものを中心とした。
◇解説は、書誌的解題を旨としたが、必要に応じて資料の特質・価値などにも言及した。
■本集の特色
◇源氏物語の研究史・享受史を彩る典籍の一大宝庫「九曜文庫」より、新資料・稀覯本を含む貴重な文献資料を公開。
◇古注・梗概・評論・絵入り本など、源氏物語享受の様相を伝える基礎資料を幅広く収載。
◇源氏物語をはじめとする国語国文学の研究者や愛好家はもとより、研究室・図書室に必備の基礎資料集成。
紫文蜑之囀
【袋綴装大本五冊多賀半七著享保八年刊】
『源氏物語』の平易な俗訳書で「桐壺」の巻から「空蝉」の巻までを含む。挿画十八図入り。「宿木」までの写本が静嘉堂文庫に蔵されているが、著者の病死により中絶。刊本は享保刊の五冊のみ。
源氏大和絵鑑
【袋綴装中本二冊 菱河師宣画貞享二年刊】
円窓の中に『源氏物語』各巻一図ずつの絵を描き、丸枠外に後光明院御製の「源氏巻名長歌」や簡単な巻の説明を記す。師宣の優雅な絵による啓蒙的な絵本で、伝本は少ない。
絵本草源氏
【袋綴装大本二冊享保三年刊】
『源氏物語』の巻々にふさわしい絵を草木を中心に描いた絵本。伝本はきわめて少ない。
絵本藤の縁
【袋綴装中本三冊方舟士撰長谷川光信画寛延四年刊】
『源氏物語』の巻々の歌と簡略な梗概を記し、これに絵を配した啓蒙書。伝本は少ない。