人文学黎明期に、熊楠は日本文学にどのような価値を見出し、学問に利用していったのか?
近代における諸学問の形成の時期に在野にありながら数多くの論考を展開した南方熊楠。その論考の多くには、文学作品が資料として使われており、そこには今日でも通用する見解が散見される。
熊楠が研究の基礎とした近世随筆・説話集、お伽草子や近世怪談などの資料群を精査し、近代前期における人文学の展開の中に位置付け、看過されてきたアイディア、研究のオリジナリティを発掘することにより、これからの日本文学研究の可能性を提示する。
熊楠自筆『熊野の本地』・「横山重書簡」・「横山重寄贈本書入れ」・南方熊楠顕彰館所蔵『絵巻物断簡』などの貴重資料の翻刻も多数収録。