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古文書修復講座

歴史資料の継承のために
神奈川大学日本常民文化研究所 監修/関口博巨 編
ISBN 978-4-585-32035-7 Cコード 1021
刊行年月 2024年3月 判型・製本 B5判・並製 192 頁
キーワード アーカイブズ,博物館,図書館,出版,文化史,古典,日本史

定価:4,180円
(本体 3,800円) ポイント:114pt

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書籍の詳細
歴史資料を残し、伝えていくために――

日本においては、歴史を伝える資料、特に古文書・古記録などの紙の資料が多く残されている。
これらは博物館や資料館、図書館などで管理されているもののみならず、民家の母屋や土蔵の奥深く、さらには襖の中の下張りとして残され、虫損・破損・水損など、さまざまなリスクに囲まれている。
傷んでしまった紙資料にはどのように対処するのか。
また、それらの資料はどのように整理するのか。
長年にわたり、古文書の調査のみならず保存・整理の方法論を検討し、歴史資料の取り扱いかたのレクチャーを行ってきた神奈川大学日本常民文化研究所のノウハウ・知見を、豊富なカラー写真とともに余すところなく紹介。
博物館・資料館・図書館等、古文書を取り扱う方々に必携の書。


◆本書94ページの写真に誤りがございました。
正しいページはこちらになります。
お詫びの上、訂正させていただきます。

『古文書修復講座』修正ページ

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この度は大変失礼いたしました。今後はこのようなことがないよう、再発防止に努めてまいります。今後ともご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

 

 

目次
はじめに 関口博巨
1.古文書修復実習開催の背景
 古文書返却の旅
 常民研による古文書修復のはじまり
 恒例化した古文書修復実習
2.本書の構成
 古文書修復(1):記録・解体(実習1)
 古文書修復(2):修理―古文書の裏打ちと繕い(実習2)
 古文書修復(3):復原(実習3)
 下張り文書の剥離と洗浄(実習4)
 整理(実習5)

実習1 記録・解体 白水智
1.修復を要する史料と要しない史料
2.いろいろな修復方法
3.修復(裏打ち)の前準備
 (1)解体前記録のとり方
 (2)解体のしかた [解体の手順と注意点][古文書の傷みが激しく、開けない場合]
 (3)解体の仕上げ

column 古文書を食べる虫 山口悟史
[古文書を食べる虫][発見した時の対処][害虫被害を少なくするために]

column 近現代史料の整理をはじめる前の手当て 平田茉莉子
[①ドライクリーニング][②修復記録の作成][③クリップ・ホチキスなどの金属の除去][④セロハンテープの除去][⑤綴じ直し]

実習2 修理―古文書の裏打ちと繕い 山口悟史
はじめに
1.修理を施す前に
 ①心構え・姿勢[文化財=病人、修理技術者=医者][地道な作業][確認、調整を怠らない][修理=次善策、という考え]
 ②原則[原形保存の原則][安全性の原則][可逆性の原則][記録の原則]
 ③修理工程[(1)調査記録][(2)解体][(3)修理前処置][(4)技術処置][(5)仕立て][(6)保存]
 ④設備・基本材料[作業空間及び環境][小麦澱粉糊][和紙][水]
2.裏打ち
 [1]古文書の裏打ち(冊子を含む)[①準備するもの][②実践(一枚ものの裏打ち)]
 [2]継紙の裏打ち[①喰い裂きのつくり方][②実践(継紙の裏打ち)]
3.繕い
 ①準備するもの[ピンセット][固糊(繕い用)][重石(製図用文鎮など)][筆][水筆][水][補修紙][デザインカッター][彫刻刀(印刀)][透過光作業台(バックライト)][プラスチックシート][アクリル板][養生紙]
 ②繕いの留意点[基本セッティング(側面図)]
 ③繕い[実践1(鉛筆で輪郭線を書く方法)][実践2(水筆を使い、手でちぎって毛羽を出す方法)][実践3(印刀で削って形取る方法)]
4.プレス乾燥(直接湿式・間接湿式)
 ①準備するもの[養生紙][板][吸取紙][水刷毛][噴霧器][水][重石]
 ②プレス乾燥の留意点[基本セッティング(断面図)]
 ③実践1(直接湿式)
 ④実践2(間接湿式)
 ⑤実践3(吸取紙交換)
おわりに

column 水損古文書を救う―乾燥・洗浄処置と開披方法 山口悟史
[乾燥方法][洗浄(+乾燥方法)][固着文書の開披方法][水損古文書を救出する前に]

column 古文書修理の接着剤 山口悟史
[小麦澱粉糊][大豆][フノリ][膠][新しい接着剤(セルロース誘導体・新古糊)][新しい接着剤の課題]

実習3 復原 関口博巨
1.復原(復元)とは
 復原と復元
 復原方針の選択―観察・記録の重要性
 本章で紹介する復原
2.復原の道具
3.仮張りからの剥離
4.状物の化粧裁ち
5.縦帳の製本

column モノとしての古文書と民具―複合資料論の試み 関口博巨

column 民具と古文書の間 石野律子
[(1)和紙の利用][(2)反故紙の利用1―張り子][(3)反故紙の利用2―敷く・覆う][(4)反故紙の利用3―包む][(5)反故紙の利用4―織る]

column 偽作された古文書 日座久美子

実習4 下張り文書の剝離と洗浄 平田茉莉子・中村 慧
はじめに
1.神奈川大学にて下張り文書の剝離作業をはじめた経緯
2.襖の構造
3.道具について
4.糊はがし剤・浸透剤について
5.剝離の作業手順
 (1)現状記録[①写真][②現状記録カード]
 (2)解体
 (3)水・糊はがし剤・浸透剤の準備、噴霧
 (4)剝離[①きっかけ作り][②手で剥離][③補水][④剝離の進め方][⑤剝離した下張り文書を並べる][⑥剝離した下張り文書の記録]
6.下張り文書の洗浄
 (1)使用する道具類について[①下張り文書の洗浄][②毛氈への移動][③仮番号の付与][④乾燥][⑤文書の仮整理(文書封筒への封入)]
おわりに
附論 屛風・襖の解体方法
 (1)縁の取り外し
 (2)引手金具の取り外し
 (3)上張りの剝離

column 表具師・経師と修復 平田茉莉子

column 渋沢敬三が求めた「常民古文書」 窪田涼子

実習5 整理 白水 智
1.史料整理の考え方―群としての史料整理
 史料は「まとまり」が重要
 現状記録の取り方[①写真をたくさん撮る][②現状記録カードに記入する][③記号・番号を付与する]
 古文書整理と目録整理を分けて考える
 古文書現物の整理
 目録の作成
 目録の入力と活用
2.下張り文書の整理から活用へ
3.史料調査の記録
 記載項目

column 時代をまたぐ史料をどのように整理するか 白水 智
[さまざまな時代の史料が混在して出てくる現場][近現代史料も含む目録はどう採ればいいか][イメージ情報をコンパクトに採り込む]

神奈川大学日本常民文化研究所について
あとがき 関口博巨
執筆者紹介
プロフィール

監修
神奈川大学日本常民文化研究所
日本常民文化研究所は、日本民衆の生活・文化・歴史を多様な領域において調査・研究する、神奈川大学附置の学際的研究機関。
1921年に渋沢栄一の孫である渋沢敬三が創設した“アチックミューゼアムソサエティ”を前身として、日本各地の生活文化、中でも民具や水産史の研究を中心に活動を進め、戦前・戦後の日本常民文化研究所を経て神奈川大学に招致され、2021年で創立100周年をむかえた。
2023年には、神奈川大学日本常民文化研究所は博物館相当施設に指定され、常民文化ミュージアムがリニューアルオープンしている(http://jominken.kanagawa-u.ac.jp/about/)。

編者
関口博巨(せきぐち・ひろお)
1960年生まれ。神奈川大学国際日本学部准教授。専門は日本近世史。
著書に『近世村落の領域と身分』(吉川弘文館、2021年)、『古文書を学ぶ』(御茶の水書房、2021年)、論文に「『水軍の記憶』を編む―二神種章の歴史叙述」(『歴史と民俗』35、平凡社、2019年)などがある。

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